もっと面白い本 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2014年1月22日発売)
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感想 : 57

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ヴァイオリンの製作を支配する法則は万有引力の法則が発見される少し前に定められ、それ以来ほとんど変わって いない。あらゆる楽器の中でもっとも完璧な音を奏でると考えられているが、その謎を何十年もかけて突き止めよう とした物理学者ですら、"ヴァイオリンはこの世界でいちばん分析されている楽器だが、いちばんよくわかっていな い楽器だ"と呻吟させるほどなのだ。

日本人が英語を話せない理由のひとつは、単語力が弱いことにある。たとえば、観葉植物、引出し、楽 ど、オフィスを見回して日にとまる簡単な物でも、英語で何と呼ぶかすぐに言えない。文法やいい廻しを勉強する前 蛍光ペンな に、単語を一つでも覚えたほうが英会話はうまくなるだろう。子どもが新しい言葉や知識を図鑑で覚えていくよう に、眺めるだけでも十分に楽しい本書は、大人の英語力の向上にも最適だ。

日本では年間に8万点もの図書が出版されているという。国会図書館には図書だけで950万冊も所蔵されている のだ。その中から1冊の愛読書を選び出すのは誰にとっても至難の業である。そもそも愛読書とは特に好んで読む本 ということだろう。文学者や研究者でもない普通のビジネスマンが、これほど大量の図書に囲まれながら、愛読書と して1冊だけを繰り返し読むという、時間の無駄ができるわけがないはずだ。

このような動きに賛否はあろう。しかし、はっきりといえるのは、これまで本をあまり読んでいなかった層が、 を手に取りはじめたということだ。私は日頃から自己啓発本を否定し、難しすぎる古典も読む必要はないと言い切っ ている。やがてネット読者が気軽に本に親しむようになり、本書も参考にしてもらいながら、さらに本を読むように なってくれれば、それが本望なのだ。

本書で紹介した本は70点(151四)。このうち、全集の『日本の歴史』『興亡の世界史』『日本美術全集』と品 切れ本を除く64点80冊)を購入すると、18万6324円(本体価格になる。もしこの3つの全集も合わせて買う と、なんと56万8146円(本体価格)にもなる計算だ。前作『面白い本』のときは、紹介した本を全部買った読者 もいたと聞く。今回はそういう無謀な人が出ないことを祈るばかりである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月22日
読了日 : 2023年6月22日
本棚登録日 : 2023年6月22日

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