文楽の世界が舞台の小説。
健(たける)は文楽の太夫。文楽の技芸員は太夫、三味線、人形遣い。
それぞれ師匠と弟子の関係は絶対である。
健の師匠、笹本銀太夫(ささもとぎんたゆう)から、突然、三味線の鷺澤兎一郎(さぎさわといちろう)と組めと言われる。この兎一郎、実力は確かだがかなり変わった人物。
健が楽屋に挨拶に行くにも兎一郎はいない。太夫と三味線は夫婦にも例えられるくらいなのに、合わせて練習もできず、これでいいのか……。
◇
文楽という、私達には馴染みが薄い伝統芸能の世界を精緻に描かれています。
義太夫に打ち込みながらも、芸事の道には終わりはないこと。
真剣に打ち込まなければならないのに、恋愛で心乱され、それが義太夫の語りにも表れてしまっていること。
迷いながら義太夫の道を進み続ける健と、それを導く、相方の三味線の兎一郎や師匠。
文楽がどんなものか知らなかったけれど、健が迷いながらも進んていく姿に共感しました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2022年8月23日
- 読了日 : 2022年7月16日
- 本棚登録日 : 2022年8月23日
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