化鳥・三尺角 他六篇 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店 (2013年11月16日発売)
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本棚登録 : 177
感想 : 20
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泉鏡花 短編集

注解と解説が充実。表題2編が 非現実から現実を読むスタイルが明確でわかりやすい。他は普通で物足りない


化鳥
*テーマは「人間の傲慢さや差別〜虐げられた者(被差別民)の怒り」
*鳥は 被差別民の比喩と捉えた
*橋が 人間世界と別世界(被差別民)の境界線を意図していると思う
*母(被差別民)への思慕、差別する側(人間)の自分という目線〜母と同じ側になるために化鳥となる

三尺角
*テーマは 自然信仰の福音性〜木に神が宿る思想
*木を礼拝する如く挽く与吉の福音が柳の絶望を救う
*幻想や自然信仰から 福音(現実の滅びから救われる)を見出している

木精
*三尺角の続編。工学士=近代の滅びの象徴
*抜け殻の近代が 幻想を通して、前近代の美しさに気づく構成




読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年6月12日
読了日 : 2021年6月12日
本棚登録日 : 2021年6月9日

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