日本藝能史六講 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (1991年11月5日発売)
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折口信夫 日本藝能史六講 日本藝能の発生論にはじまり、民俗伝承の中で藝能の変化を論じた本


日本の藝能の発生を「祭り」( 広い意味での「饗宴」)として、鎮魂と反閇(へんばい)に 目付けすることで、儀式としての藝能が、その目的を転々とさせながら、色々なものを取り込み、興行化していく様子が よくわかる

*鎮魂=外からよい魂を迎えて人間の身体中に鎮定させる、遊離した魂を招び戻す、あそびは鎮魂の動作
*反閇=悪い魂を踏みつけてでてこれないようにする、精霊を抑えつける〜踊という藝の中に伝承されている



日本の藝能を中国の六藝と比較した論評は興味深い「日本の藝能は学問ではない〜六藝のように美しいものではない〜もっと雑然とした、内容の豊富なものであったと思う」


「書いていないということは事実がないということではない〜かえってありすぎる平凡の事実だから書かれなかったという場合もある」という言葉に納得


日本の藝能を中国の六藝と比較した論評は興味深い
*日本の藝能は学問ではない〜六藝のように美しいものではない〜もっと雑然とした、内容の豊富なものであったと思う
*文字を解剖して、藝能を考えることはよくない


ことばに関する著者の認識
*ことばというものは〜使っている間は、定義によって動いているものではない
*使っている間に、ことばが分化して、そこで始めて定義づけてみようという試みが行われる


何事も発生学風に研究することの意味
*藝能にしても、最初から何か目的を持って出てきたと考えることは間違っている
*目的は次々に展開している
*儀式は次第に藝能に変わってくる〜儀式を行うために訓練することが増えて、さらに藝能になると演出する人の監督によって行われる
*何か一貫した歴史的必然性で藝能が組織されているのではなく〜何でもかんでも世間で行われているものを雑然と取り込んで発達していく
*日本の藝能は、もとは藝能としての形をもっていなかったものが、繰り返し行われるうちに藝能化してきた








読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月17日
読了日 : 2022年2月17日
本棚登録日 : 2022年2月15日

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