ルネッサンスの光と闇: 芸術と精神風土 (中公文庫 M 335)

著者 :
  • 中央公論新社 (1987年4月1日発売)
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高階秀爾 「 ルネッサンスの光と闇 」

ルネッサンス期フィレンツェ派の芸術表現と精神的風土の関係性から ルネッサンスの意義を論じた本だと思う

ルネッサンスの意義は ギリシア思想の復興により、教会の権威を弱め、キリスト信仰を 本来あるべき姿に是正したこと

ルネッサンス期の精神的風土
*中世カトリックの教会主義への疑問
*個人の自由と平等の目覚め=ギリシア思想
*終末思想、神の罰への怖れ

ルネッサンス期の芸術表現
*教会の教義は 神の言葉か、悪魔の言葉か
*美とは何か、愛とは何か、神とは何か、の芸術的追求
*愛とは、人間と神との関係の中にあり、美(=神から発する神的な性質)を受け、快楽の喜びを通して 神の世界に返すべきもの

シニョレルリ 「世界の終わり」の地獄絵巻〜「偽キリスト」
*世界の終わりのプログラムの最初に「偽キリスト」を配置
*偽キリスト=神の言葉でなく、悪魔の言葉を話している=サヴォナローラその人

ボッティチェルリ「神秘の降誕」
*テーマ=終末観=悪魔の一時的な勝利と神の最終的な栄光

シニョレルリ「パンの饗宴」
*ギリシャ神話のパンの神(半獣神)=メディチ家の守護神

ボッティチェルリ「春」
*三美神は (左から)愛、貞節、美→貞節が後ろ向き、愛と貞操が対立、美がヴィーナスの近くにいる=新しい総合
*キューピッドの愛の矢は 愛を知らない貞節に向けられている
*愛を知らない クロリスは 西風(春。愛の化身)と出会い、愛の女神フローラとなった



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年6月14日
読了日 : 2019年6月14日
本棚登録日 : 2019年6月11日

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