後悔と真実の色

著者 :
  • 幻冬舎 (2009年10月1日発売)
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本棚登録 : 791
感想 : 169
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揶揄の意味合いが込められつつも、"名探偵"と渾名される捜査一課のエース刑事・西條輝司と、ネット上で"指蒐集家"と呼ばれる、被害者の指を切り取る、女性ばかりを狙った連続殺人鬼の闘いが描かれます。
「慟哭」、「空白の叫び」に続いての貫井作品三作目でしたが、どうも読んでて既視感がと思ったら、主人公の設定が「慟哭」の主人公・佐伯とそっくりなんですよね。
頭はキレるが、仲間と群れずにむしろ孤立気味な捜査一課の若手エースで、家庭生活はうまくいっていないどころか、ほぼ破綻状態で愛人がいる。その愛人のことがバレて、世間や警察組織からバッシングをうけ窮地に陥る。
ここまで似通ってると、ともすれば興醒めしそうなものですが、時に大胆な「劇場型」の犯行を起こしながらも、容易に尻尾をつかませない狡猾で不気味な"指蒐集家"との息詰まる攻防が、ページをめくる手を止めさせてくれません。
後味スッキリとまではいかないものの、これまで読んだ作品の中では、比較的心穏やかに読み終えられた方かも知れません。
なんと続編があるそうで、次はその「宿命と真実の炎」に挑みます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 貫井徳郎
感想投稿日 : 2021年3月25日
読了日 : 2021年3月13日
本棚登録日 : 2021年3月13日

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