下り坂をそろそろと下る (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2016年4月13日発売)
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本棚登録 : 991
感想 : 108
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まことに小さな国が、衰退期をむかえようとしている。
――とは『坂の上の雲』の冒頭を引いての贋作だそうだけど、この本はこのフレーズで始まる。これから衰退していくしかない日本の、この先のいき方を示唆している。
「降りていく生き方」という言葉を聞いたのはほぼ10年前のこと。日本のあり方というよりは、身の丈に合った無理のない生き方をしていけばいいんだというような話だったという記憶があるんだけど、この本はそれを日本という国のあり方として考えようというもの。兵庫県の豊岡市とか四国学院大学とかオリザさんがかかわってきた好事例が紹介される。いずれも理想的で希望がもてるような感じ。ワクワクする未来がやってきそうな感じ。
「下り坂をそろそろと下る」ってタイトルはオリザさんが自分でつけたのだろうか。内容と合っていそうで合っていない。紹介されている事例は「そろそろ」でなく大胆に、しかも下っていない感じがするよ。むしろ上っている……いや、昇っている……っていうか閉塞した現代日本とは別の次元に昇っていると思う。下りか、上りか別次元かわからないけどまずは頭を切り替え一歩踏み出せ。そろそろとでもいいから。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年3月8日
読了日 : 2020年3月5日
本棚登録日 : 2020年3月5日

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