◯山極先生の特異な体験を踏まえて、社会の生き方や人との付き合い方などを記したエッセイ。山極先生のことを知るにあたっても、気軽にさくっと読める一冊。
◯類人猿と比較して人間を分析するしては変わらず面白いが、この本で一番のポイントは、時間の使い方である。人と一緒に食事を取ること、付き合うこと、人のために時間を費やすことである。
◯これは、アフリカ人との付き合いの中で実感したとあるが、日本でも昔は同様であった。個人主義の行き着くところは、これまでは経済的発展であっても、それも行き詰まった感もある。個人主義という孤独は人をむしばみ、隣に住んでいる人が何をしているかも分からないような現代社会を作り出した。
ミヒャエル・エンデのモモを彷彿とさせる考えである。自然の中で生きている人々、もしくは自然そのものを相手にしてきた人の語ることだと、また説得力がある。
◯ただ、ここまで社会がきて、今さらかつての生き方に戻るというのも何か違う。それこそ、人類は多様な社会を構築することができるのであれば、孤独を埋める社会だって作れるのではないだろうか。それこそ長い時間をかけてでも。
◯ちなみにこの本もあまりゴリラ感はない。
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- 感想投稿日 : 2020年8月1日
- 読了日 : 2020年7月31日
- 本棚登録日 : 2020年7月29日
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