モンテ・クリスト伯 2 (岩波文庫 赤 533-2)

  • 岩波書店 (1956年2月25日発売)
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頼みのファリア司祭が亡くなり、見事でスリリングな脱獄劇から始まる2巻
密輸船に助けられ、船乗りの力量を発揮し順調なスタートを切るダンデス
結局彼は14年もの間牢獄生活を送ったことになる
20歳だったダンテスは34歳である
14年ぶりに見る自分の姿の変貌ぶりに「誰一人自分と気づかないだろう」と満足げに微笑む
この辺りがもうダンテスの完全なる精神変化が窺い知れ、こちらも不敵な笑みを浮かべ読み進める
もう以前のダンテスではない
精神を研ぎ澄ませ、知恵を活かし、とうとう宝の在り方であるモンテクリスト島へ
そして…
いやー実にドキドキするスリリングな展開である
まぁ出来すぎた内容でもある本書らしく、紆余曲折はあるものの、無事お宝ゲット!

いよいよここからダンテスは過去の人物らとの再会を図る
父の最期を知り、大いに嘆く
そして野心のためにダンテスを陥れたダングラール(元船乗りの仲間の会計士)とダンテスの婚約者メルセデス欲しさにダンテスを陥れたフェルナンも黒幕であることを再確認
しかも二人は大層出世した模様
さらにはフェルナンは愛するメルセデスと結婚したというではないか!
ダンテスの復讐の炎がジリジリと音を立てて燃えているのが想像できる
さらには船主であったモレル氏が破産に追い込まれていることを知り、身元を明かさず助ける
(もうダンテスと再会してもダンテスだと気づく者はもう居ない)

そしてストーリーは展開する
1838年イタリア
登場するのはパリの上流階級に属する青年二人
アルベールとその友人フランツである
(じつはアルベールというのが、フェルナンとメルセデスの息子であるが、それは前半にたった一度名前が出てくるだけなので見逃す人多発であろう…こういうのもデュマの演出なのかしらん?)
ここでダンテスは「船乗りシンドバッド」と名乗り二人に近づくのだが……

モンテクリスト島で宝を手にし、縁ある人達に再会する辺りから、ダンテス側からストーリーが進まないため、各所のダンテスの心情描写は一切ない
そしてこの青年二人へも少しずつ近づいているのだが、どんな展開になるのかまったく読めない
青年側からの描写でストーリーが進んでいくため、ダンテスが何を企み何を企てているのか読み手にもまったくわからないのだ

こういった構成の見せ方に読み手は完全に虜にされてしまう
うーんさすが名作!

ところどころにアラビアンナイト、ギリシャ神話、神曲のエピソードが散りばめられており、時間軸も空間も全く異なるのに同じ書に触れた作家の作品を読む喜びを味わうこともできる

続きが待ち遠しい
久しぶりのワクワク感♪

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年1月14日
読了日 : 2022年1月14日
本棚登録日 : 2022年1月14日

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