「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?…」の山口周氏の書
本当はこちらから読みたかったのだが…
飲茶氏の哲学本に触れ、生まれてはじめて哲学に興味を持った(恥)
とりあえず型にとらわれず哲学的な書に触れていきたくこちらを読むことに
本書の流れは
■各哲学者の思想
■歴史的事実や、実験などを踏まえ
■現代の我々はどう行動すべきか
と言う感じ
本編前に熱いメッセージがある
〜大切なのは「プロセスからの学び」
哲学者らがどのようにして考え、最終的な結論に至ったかという思考のプロセスが大切
結果や結論を手っ取り早く求めるのは哲学に挫折してしまう〜
頭でっかちにならずよく咀嚼しなくては!
多くの学びがあったが特に気になったものをピックアップ
09悪の陳腐
ハンナ・アーレント
ナチスによるユダヤ人虐殺計画の主導的役割を果たしたアドルフ・アイヒマン
連行されるアイヒマンの風貌があまりに小柄で気の弱そうな「普通の人」であったことは有名だが…
アーレントは
「悪とは、システムを無批判に受け入れることである」と警鐘を鳴らす
自分で考えることを放棄してしまった人は誰でもアイヒマンになる得る
〜これってイジメも然りだ
周りに何となく流されて同じように無意識にイジメという行動を起こしてしまう…
見て見ぬふりをするのも同罪だ
人間の怠惰さが生む「悪」である
29自然淘汰
チャールズ・ダーウィン
ここで興味深かった広島大学研究グループによるアリの研究
アリ塚では1匹が巣の外でエサを見つけると、フェロモンを出しながら巣まで帰って仲間の助けを呼び、他のアリは地面につけられたフェロモンをトレースすることでエサまでのルートを知り、巣まで手分けして運搬する
実験
エサを見つけフェロモンを出すアリをAとする
アリAのフェロモンを間違いなく追尾できるマジメアリと一定の確率で間違えてしまうマヌケアリの混合率の違いによるエサの持ち帰り効率を調査
優秀なマジメアリだけのコロニーより、マヌケアリがある程度存在する場合の方がエサの持ち帰り率は中長期的に高まるらしい
つまりマヌケアリが適当に寄り道したり間違えたりする(エラーをおこす)ことで、思わぬ形で最短ルートが発見されたりする
自然界のそこかしらに見られる「偶発的だエラーによって進化が駆動される」
エラーはネガティブなことばかりではない
【備忘録】
※親切心のかけらもない個人的な備忘録です
・哲学のプロセスと合わせ時代背景を知る
・「自由」のしんどさ、責任の重さ
・悪魔の代弁者(反論する人間)の必要性
・人脈は狭く深く
・分かり合えない人こそが学びや気づきを与えてくれる
・「わかる」ためには「今はわからない」ものに触れる必要がある
・「わかる」ということは「変わる」ということ 腹に落ちるほどの深い理解が大切
・人間が作り出したシステムによって人間が振り回される(資本主義)
・「能力提供し、給料をもらう」ではない関係性を作ろう 斬新的だ!
・ヤバいと感じたら逃げて良い
・差別や格差は同質性が高いからこそ生まれる (公正の危険性)
・公正世界仮説→見えない努力もいずれ報われるの大嘘!世界は公正ではない 報われない努力は人生を破壊しかねないのだ
・直感に導かれることの大切さ(ブラコラージュ)
大変読みやすく上手にまとめられている
深掘りする前の取っ掛かり的読本という感じかな
表面的に読むだけでは明日になったら忘れるだろう
しかし哲学って結構人間の心理学が満載なのですなぁ
改めて哲学の大切さをしみじみ実感
システマチックになりがちなこのような時代こそ、自分に問うべき事柄が沢山ある
頭がかたくなっていく危険さをはらむ中、素の状態にリセットし自分を見直したいと感じる
知識ばかりの言葉で表面的にするりと通り抜ける感じじゃなく、ズドンと腹に落ち毛穴から染み込むような…
そんな理解が哲学には必要なんだなぁ
さて次はもう少し哲学を深掘りしていきたい
- 感想投稿日 : 2022年3月2日
- 読了日 : 2022年3月4日
- 本棚登録日 : 2019年10月31日
みんなの感想をみる