ジャイロスコープ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2015年6月26日発売)
3.26
  • (126)
  • (576)
  • (1121)
  • (214)
  • (36)
本棚登録 : 8074
感想 : 720
3


初めて読む伊坂幸太郎がこの本でどうよ
とは思ったものの、本なんて巡り合わせだもの
まぁいいじゃん…ということで


『浜田青年ホントスカ』
「本当っすか」が口癖の浜田君と
丸みを帯びた脂肪を着ているというのがふさわしい、手を抜いた漫画絵のような体型の稲垣さん

この二人の緩い感じから
最後一気に急展開へ
ジェットコースターのような緩急だ
油断してたら足元すくわれた

個人的に緩い二人の会話を楽しんでいたのでこの展開は不本意なのだ
終始敬語の稲垣さん
職務を淡々とこなす稲垣さん
助言あり〼マス
協力いたし〼マス
相談屋のプロである
クソ真面目な面白いキャラである
仕事は非常にプロフェッショナルだ
倫理や常識は無視
あくまで相談に乗ることに徹する

稲垣さんと浜田君がどうなるかとかどうでも良くて、ただひたすらおかしな相談と、それを真剣に考えて答えていく稲垣さん
浜田君が私たちの代わりにツッコミを入れる…
これだけを延々読み続けたかったのだ
次の相談はなんだろ?
…と


『ギア』
セミンゴ
名前が何とも耳について、残る
ちょうど読んでいる時、頭が痛かったのだが、そんな時に読んではいけない本だった
広漠とした荒れた土地をワゴン車でガンガン悪路を走りながら、厭な展開の会話が続く
車酔いの錯覚にも陥り出し、だんだん頭痛が悪化し、吐き気がしてきた
そういう意味では描写力が素晴らしい
しかしこういうストーリー読んだことあるなぁ
誰の本だったか…



『二月下旬から三月上旬』
時代背景と時空と人格設定がややこしい
坂本ジョン
君は実在してるのかい?
まぁどっちでも良い
大切なのは主人公の中に実在していることだ
妄想と現実と時間とがフラフラ行き来しさまよう
不動の存在は増税と戦争
だからどの時代もどの日も「戦前」、「増税前」
どちらも終わりがない
これはシャレにならない
趣味の悪いオチで嫌いだ


『if』
やり直しができたのだ!
しかも同じ体験をした人達と共有して
とにかくスッキリする話し
こんなifは現実にはないが、近しいことは誰もが抱えて後悔と懺悔の気持ちがある
最後は皆の代弁者的に解決
共感を呼ぶ作品
綺麗な仕上がり




『一人では無理がある』
ちょうど12月に読めるって
ほら
やっぱり巡り合わせなのよ
とても自己満足
まさにXmasプレゼント
サンタクロースの会社
トナカイの訓練
本当に実在して欲しい会社
フィンランドにはあるんじゃないのか
と密かに夢を抱いてみた
松田さんの度重なるミス
なるほどそういう意味だったのか
しかし敢えてこのタイトルなんだよなぁ
全くしっくりこないけど、たしかにタイトル通りの内容だから…
しかしストーカーが家にくる描写は心臓が久々に飛び出してドキドキ音が鳴っているかのような恐怖だった
Xmasにふさわしい心温まる話し



『彗星さんたち』
パウエル元国務長官の本もたまたま先日読んだぞ
きちんと巡り合ってるぞ
よしよし

新幹線車内掃除の人たちのお話
以前TVの特集で見たことがあり
予備知識を元に想像が膨らみやすく楽しめる
そして登場人物がみな不器用だけど、良い人たちばかりでただただ素直に嬉しく読んだ
心だけで読んだ
こんな職場で働きたい
とつい無い物ねだり


『後ろの声がうるさい』
なんでまたこのタイトル⁉︎
これがセンスというものなのか…⁇
個人的には理解できず

今までの総まとめをここできちんとこなされているので満足な読者は多いだろう
サービス精神は旺盛である
こちらも心が暖まるので細かいことはどうでも良くなってしまう…




構成や展開や仕掛け的なテクニカルな感じが恐らく面白さなんだろう
こういった演出は苦手だが、非常に読みやすく、想像力を掻き立てる表現力はなかなか素晴らしい
あと、やっぱり人って心暖まるストーリーで癒されるのが好きなのだ
ジーンとするって心地よいもの
そーゆーものを自然に求めているのだ
疲れて乾いているのだ
何かに飢えているのだ


長編も読んでみようと思う

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月15日
読了日 : 2019年12月15日
本棚登録日 : 2019年12月15日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする