共産主義者宣言 (平凡社ライブラリー)

  • 平凡社 (2012年7月12日発売)
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なぜ、「共産党宣言」ではなくて、「共産主義者宣言」として、Das Kommunistische Manifestが訳されているのか。
ブルジョワとプロレタリア階級の階級闘争を分析して、共産主義への移行を目指す本書であるが、いままで、本書は「党」の色に彩られていたのである。

「今日に至るまで、あらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である。」
「諸君は、われわれが私的財産を廃棄しようとしていることに驚いている。だが、諸君のこの社会にあって、十分の九の人間にとっては私有財産などとっくに廃止されているのだ。」
「労働者は祖国を持たない。もってないものを、奪うことはできない。」
「思想の歴史が証明しているのは、精神的生産が物質的生産とともに変化するということではないのか。」
「支配階級よ、共産主義革命の前におののくがいい。プロレタリアには、革命において鉄鎖のほかに失うものはなにもない。彼らには獲得すべき全世界がある。

全世界のプロレタリア、団結せよ!」

『宣言』の特徴は極めて個人主義なことである。また、インターナショナルであるということ。
『宣言』に書かれたことは現在も進行中である。世界はますます資本主義化しているのである。
共産主義は、「現実を止揚する現実の運動」にしか存在しない。したがって、「共産主義者」たることは「妖怪」たることである。

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カテゴリ: 学術書
感想投稿日 : 2013年8月15日
本棚登録日 : 2013年8月15日

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