「今までで、どんなデートが印象に残ってる?」
代わる代わるの主人公たちが、それを語り繋げていく物語。
恋が成就した瞬間を、その恋の頂点とするならば、
それから下っていくことは、悲しみにしか思えなかったときがある。
それが、若さだと今は思う。
ということを思ったのだから、ぼくは若くはない。
それは悪い意味ではなく、下っていく中にある輝きを、
今ならたぶん、見つけ出せる思考になったと感じるのだ。
All Small Things。
ちいさなしあわせ。
頂上から見た景色は、あまりにも美しくて、
いつまでもそこに立っていたいと思う。
けれど、そこに立ち続けていると、
薄い空気にいつしか倒れてしまったりする。
もう一度見たくなったなら、
下ってまた登っていくことだ。
その下り坂の途中、あるいは休憩しているさなか、
その中に、見つけられる幸せがある。
ドラマチックでもなんでもない、
他の人には何がいいのかさっぱりわからない、そのこと。
それこそ、実は幸せの大部分を握っているような気がする。
あったものが、なくなることは淋しい。
けれど、なくなったわけではなく、
形を変えたのだと思えたなら、
そこに、これからの「All Small Things」を見つけるのだろう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年9月30日
- 読了日 : 2011年9月29日
- 本棚登録日 : 2011年9月29日
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