ロマンス小説の七日間 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2013年6月25日発売)
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本棚登録 : 303
感想 : 28
4

おもしろかったなぁ。
翻訳家であるあかりの日常と、翻訳中のロマンス小説のストーリーが交互に進む、今まで読んだことのないスタイルがとても新鮮で、一冊で二つの物語を読んでいるようなお得な気分にもなれた。

現実世界でのあかりの気持ちの浮き沈みが小説の翻訳に影響し、勝手にどんどん創作してしまい自分でも止められない。
読んでいるこちらまでどこか後ろめたいような気持ちになり、これからどうなっていくんだろうとスリルも満点。

どちらのストーリーも中盤あたりから勢いを増してきて、このまま続きが読みたいというところでもう一方の物語へ移り、またそちらに引き込まれていったところでもう一方へ移る、といった具合でだいぶ弄ばれました。
現実のどこかライトな感じと小説のどっぷり感との重量差?も良かった。

登場人物のキャラがみんな濃く、リアリティを感じる話というよりは自らそっちの世界に入っていって読んだ感が強かったけど、あかりの「共に過ごした時間の長さと、互いへの理解の深まりとが、必ずしも比例しないのはなぜだろう」という言葉にはうんうんと共感した。
時間ではなく過ごし方なんだろうなぁ。

よくよく見たら15年以上も前、20代のときに書いた作品のよう。
あとがきも面白く、三浦しをんさんをますます好きになりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年6月3日
読了日 : 2019年6月3日
本棚登録日 : 2019年4月18日

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