表現の生々しさに眉をひそませながらも、読むのをやめることはできなかった。それはひとえに文章の品のよさのおかげだろう。大きく混乱させられながらも、途中途中できちんとつじつまが合うのでスムーズに読めてしまう。ぼくも元子もそれにまつわる人々も皆、いわゆる「ふつうではない」性質の持ち主。運命に翻弄される「ぼく」、というよりも「ぼく」がそれぞれの世界を翻弄させているようにみえて仕方がない。結局最後までほっとすることもじんわりあったかくなることもかっこよさに身もだえすることもなく。救いようのない話、とも言えるかもしれない。けれどそれでも上下巻を一気に読んでしまったのは、やっぱり文章の美しさがそうさせるんだろうなあ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年12月8日
- 読了日 : 2011年12月7日
- 本棚登録日 : 2011年12月7日
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