王さまと九人のきょうだい―中国の民話 (大型絵本 (7))

著者 :
  • 岩波書店 (1969年11月25日発売)
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感想 : 110
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9人の、強すぎる個性をもったきょうだいが大活躍!
ひさしぶりに、小4娘に読み聞かせしました。

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子どもが欲しいと願い続けていたけれど授からず、腰が曲がるほどの年齢になってしまった夫婦。
あまりにもさびしくて泣いていたところ、池の中からあらわれた老人に丸薬(がんやく)を授けられます。
丸薬を飲むと赤子が授かると言われたおばあさんは、一粒食べて一年待ちますが、子どもは生まれず…
しびれをきらし、今度は丸薬全部を飲んだところ、突然9人の赤子が生まれるのでした…!!

大変な貧乏で、しかも“老”夫婦な2人は、9人の子育てがつらくてたまらず…
するとまたもや池の老人があらわれて、「この子たちは、ひとりて立派に育つ」と言い、名付け親になってくれるのでした。

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なんもしてやらなくても子どもが立派に育つなんて、うらやましい(苦笑)
でもそんなふうにおもってしまうくらい、子育てって大仕事なんですよね。

「子どもが欲しい」と長年願ってきた老夫婦ですら、子どもができて大喜び!とおもいきや、今度は貧乏な中での子育てがつらくなる…
「子どもを生むこと」がゴールのように感じていると、より「こんなはずじゃなかった…」となってしまうのかもしれませんね。

子育てにはたのしいこともありますが、責任もあるし、協力してくれる人がいなければ、とてもじゃないけどできない大仕事なんですね、子育ては。
ましてや一度に9人ですからね…
「子どもが欲しくて生んだのに、文句言うなんてけしからん!!」「生んだんだから、責任持って親が育てなきゃダメだ」と言う人もいるかもしれませんが、そういう社会だからこそ少子化が進んでいるんだよね…とおもいます。
子育ては、親だけではできない大仕事!

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さて、ちからもち、くいしんぼう、はらいっぱい、ぶってくれ、ながすね、さむがりや、あつがりや、切ってくれ、みずくぐりと名付けられた9人のきょうだいたちは、それぞれの個性を存分に伸ばしながら、すくすくと育ちます。
後半はそんなきょうだいたちが、王様の無理難題を軽やかにかわしていく模様が繰り広げられますが、それは読んでみてのお楽しみ!ということで(笑)(あらすじが難しくなってきたので逃げ出した)

「なんともつごうのいいことに、この九人のきょうだいは、九人とも、かおも、からだつきも、そっくりだったのです。」(引用)
と書かれているページには、9人が横並びになっている絵があります。
しかしひとりひとりの顔をよ〜く眺めてみると、ほんの少しずつ、顔がちがっているのです。
「そっくり」と書かれているのに、絵には些細な違いがある。
それを見比べて、見つけることの中にも、おもしろさがあります。
そしてどんなに似ていようとも、個々の人間はひとりひとり違う存在なのだというメッセージを、文と絵のギャップから感じてしまうのでした。
(でも表紙の9人は、ほっぺの色が違う子以外はマジそっくりなんですけどね…苦笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年9月17日
読了日 : 2022年9月16日
本棚登録日 : 2022年9月16日

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