ルドルフとスノーホワイト (児童文学創作シリーズ)

著者 :
  • 講談社 (2012年11月22日発売)
4.13
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本棚登録 : 657
感想 : 73
3

まるで“ことわざ・名言”辞典のような…!
そして、ここぞと言うときに放つはったりも、危機管理には重要な策になるのだ!

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仲間のブッチーが、ふらっといなくなった。
そして数日後、イッパイアッテナのなわばりの外で、ケガをして帰ってくる。
どうしてブッチーはそんなところへいったのだろう?
そしてなぜ、ケガをして帰ってきたのだろう…?

ブッチーの問題が解決したのもつかの間、今度はブッチーの子ども・チェリーが行方不明になってしまった!

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ルドルフとイッパイアッテナシリーズ第4作。
前半はブッチーとスノーホワイトメインのお話、後半はチェリーとスノーホワイトメインのお話という感じでした。

お話の冒頭で、主人公の黒猫・ルドルフが「ポケット版ことわざ辞典」を拾ったくだりがでてくるのですが、物語の始まりから終わりまで、いくつものことわざや名言が飛び出してきて、まるでこの本もことわざ辞典のようでした。
いろんなことわざを物語の中で知ることができるので、読みながら勉強もできる素晴らしい本でした。

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今回のお話では、飼い犬・デビルの言葉が、特に印象的でした。


「『ま、からだはさむくなくても、心がさむいってこともあるからな。』
それで、ぼくはストレスっていう意味がすこしわかった。」(40ページ)

飼い犬のデビルの言葉を聞いて、以前のデビルが置かれていた状況と照らし合わせ、「ストレス」が生き物に与える影響を、感じとったルドルフ。
いじわるをしている人(犬や猫)は、ストレスによって、心が寒くなってしまった人(犬や猫)なのだと、ルドルフもデビルも考えています。

「(中略)負けない方法は勝つことだけじゃない。あらそいにならないようにすることも、負けない方法のひとつだ。そういうのが、つまり危機管理だ。」(87ページ)

このデビルの言葉も深い…!深すぎます!
つい、負けないの反対は勝つことしかないと思いがちですが、負けないことと勝つことは、本当はイコールではないのですよね。
たいせつな人を守るために、無用な争いを起こさないため、勝つのではなく負けないという守り方もあるのだと、デビルは教えてくれます。
デビル、なんか、かっちょいい…!

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そして、白猫・スノーホワイトの度胸ある行動も、見ものです。
行方不明になった子猫のチェリーを探す旅では、スノーホワイトが大活躍します。
どう大活躍するのかは、読んでのお楽しみ!
スノーホワイトはただもの、いえ、ただの猫ではないことが、よ~くわかる展開になっていますよ!

今回の物語では、たくさんの猫が登場してとても賑やかです。
1匹としておなじ猫はおらず、1匹1匹の考え方や立ち振る舞いの違いがとてもおもしろく感じました。

ことわざの勉強に疲れた人、いろんな猫の気持ちを知りたい人、純粋に物語を楽しみたい人…オトナも子どもも楽しめる、シリーズ第4作「ルドルフとスノーホワイト」を、さあどうぞ、お召し上がりください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生きること、死ぬこと
感想投稿日 : 2021年6月22日
読了日 : 2021年6月21日
本棚登録日 : 2021年6月20日

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