ここで死神から残念なお知らせです。 (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社 (2014年12月22日発売)
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本棚登録 : 1252
感想 : 128
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世界が滅びる物語(他の著者の作品)の次は、死神の出てくる話へ…
滅びるとか死ぬとか、潜在的に気になっている…??
年末だなあ…(いや、年末関係ある…??)

榎田ユウリさんの作品は先に「妖き(変換されないのでひらがなで)庵夜話」を読みきっており、そちらが落ち着いたダークなお話だったのでその文章のイメージのまま、本作も手に取った。
しかし本作は、文章量はやや多めなものの文章の「軽さ」がすごくて、そのギャップに驚いた。

とは言うものの、軽さがあるということは結構読みやすい、ということでもあり、ものの2時間かからないくらいで読み終わることができた。
要は半引きこもりの梶が、いきつけの喫茶店で死神が老婆に契約書にサインを迫るのを目撃してしまい、その死神から仕事を手伝わされるようになってしまう…という、パターン的には“よくある”話。
しかし梶が死神の仕事を手伝わされるようになる理由が、そのくだりを読んでいるときは今ひとつ腑に落ちなかったのだが(死神は全然、助手を必要としているようには見えなかったし)、オチまで読むと一応「そういう理由だったのか」とはなった。
でも「そういう理由」なのかとおもったら、今度は「なぜ梶はこのオチまで“保っ”たのか…?」という疑問が出てきてしまった。
それに対するこたえは、オチの次に出てきた大オチを読むと、一応の説明はつくのだが…、この話をこの大オチで包むことが、ちょっと安易に感じてしまった。
なぜならば、この大オチが許されるならば、それ以前の話は本当に「何がおこってもいい、何でもアリ」になってしまうからだ。
(ネタバレせずに書くと、感想がすごいふんわりしててわかりにくいな…)

オチのところは、後半を読んでいると察しがつく。
大オチについては「それってアリなの…?」という気持ちにはなる。
妖き庵夜話のような緻密な構成が好きなので、こちらのシリーズは1巻を読んだ限りでは、うーんとなってしまったのだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年11月28日
読了日 : 2023年11月28日
本棚登録日 : 2023年11月27日

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