シーソーモンスター (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社 (2019年4月5日発売)
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嫁姑争いの原因と結果は、思わぬ方向に…?!「シーソーモンスター」

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表題作「シーソーモンスター」と、その時代から約60年ほど進んだ世界のお話「スピンモンスター」の中編2本を収録した1冊。

表題作「スピンモンスター」は、嫁姑問題…を読んでいたはずが、まさかの嫁の正体と“黒幕”の存在に、「えー?!」っとなりました。他の方も挙げておられましたが、以前放送していた綾瀬はるか主演の某ドラマを思いだし、原作なのか?!と調べましたが、全然違いました(汗)
(ちなみにわたしは、そのドラマは見ておらず、軽い設定しか知りません。あしからず。)

「スピンモンスター」は、「シーソーモンスター」から更に60年ほど進んだ世界の物語です。
「スピンモンスター」との接点もありますので、「シーソーモンスター」を読まれてからの方が、より楽しめると思います。
こちらのお話は、結末にせつなさが残りました。
また、人間の記憶というもののふたしかさ、曖昧さを感じ、今じぶんか認識しているものごとですら、本当のことなのか、全部まやかしなのではないか?という漠然とした不安感に襲われました。
そうした感覚は、恩田陸による「常野物語シリーズ」の「エンド・ゲーム」を読んだときにも感じた感覚でした。

ちなみにどちらのお話も、残忍すぎるシーンはありませんので、ご安心あれ。
(ホラーがニガテなわたしでも大丈夫でした)

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この物語は「螺旋プロジェクト」というものの中の1作として書かれた物語だそうです。
そのことは全然意識せず読みましたが、偶然にもおなじタイミングで手にしていた朝井リョウ著「死にがいを求めて生きているの」も、螺旋プロジェクトのうちの1冊でした。

螺旋プロジェクトの概要を知らなくても読めるお話ではありますが、そうしたつながりを知っていると、また違った面からも眺められるお話だなと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年7月12日
読了日 : 2021年7月6日
本棚登録日 : 2021年7月4日

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