娘をもつ親になってわかる、大国主の命(おとくにぬしのみこと)に娘・須勢理姫(すせりひめ)を託した須佐之男の命(すさのおのみこと)の気持ち。
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兄弟たちに命を狙われている大国主の命(おおくにぬしのみこと)は、舟で旅立ち、やがて祖先・須佐之男の命(すさのおのみこと)の住む黄泉の国へとたどり着いた。
そこで出会った須佐之男の娘・須勢理姫(すせりひめ)は、大国主の命に恋心を抱く。
しかし、それが気に入らない須佐之男は、大国主の命に次から次へと無理難題を言いつけるのだが…
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大国主の命や、須勢理姫からみると、恋の敵役である須佐之男の存在は疎ましいものです。
しかし親の目線で読むと、娘を連れていってしまうかもしれない大国主の命を、うとましく思う須佐之男の気持ちも、わからないではありません。
また、折込付録で舟崎克彦氏が書かれているように、若いころは荒ぶる力を持っていた須佐之男が老い、これから先の人生を娘とともに穏やかに過ごしていくはずが、大国主の命によってその道を乱されようとしているのですから、須佐之男の心中がおだやかではないことにも、大きく頷けます。
しかし同時に、結局のところ親と子は別の存在であり、親の思うように子を動かすことなどできないこともまた、このお話によって学ぶ点ではないでしょうか。
ラストで、須佐之男が若い2人にかけた言葉を読み、須佐之男もまた、娘のしあわせを願うひとりの神だったのだなと思いました。
第1~3巻では若かりし頃の須佐之男の姿が描かれていますので、そちらを先に読んでから5巻を読むと、より須佐之男の老いや心境の変化を追いやすいのでオススメです。
- 感想投稿日 : 2020年7月30日
- 読了日 : 2020年7月26日
- 本棚登録日 : 2020年7月26日
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