天皇の逝く国で[増補版] (始まりの本)

  • みすず書房 (2011年11月10日発売)
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本棚登録 : 83
感想 : 7
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回送先:府中市立新町図書館

94年に刊行された同名書籍の増補分を含めて「始まりの書」シリーズの一冊として刊行。事実上の復刊に当たる。

89年に死去したヒロヒトと「過ぎ去らない戦後(あるいは過ぎ去らない記憶)」の問題について論じる書籍はたくさんあるが、本書が復刊までにいたったのは、その出発点が「祖母のくに(=祖母の郷里)」と「日本という国民国家」との同一化をしなければならないのかという個人的でありつつも公共的でもある問いだからであろう。確かに増補箇所であるように「表面的にしか知らなかった」がために、その表面さから自らが投げかける「質問」の文言にあとから「顔から火が出る」のもわからなくはないが、しかし「原因はこれだ」(あるいは「これによってこうなった」という幼稚なルサンチマンの表明)と断定するだけの書籍と見比べて、本書は「顔から火が出てしまったこと」を率直に認め、それから何を得たのかについてもキチンと加筆されている。書きっぱなしで終わったのではなかったのである。

「権威」や「同意」によって翻弄された格好の言の葉のみを選り好みするのではなく、単語(あるいは文字ひとつひとつ)を真摯に紡ぐことの責任を、さりげなく投げかけられたような読後感をもっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 借受:多摩地区
感想投稿日 : 2011年12月26日
読了日 : 2011年12月26日
本棚登録日 : 2011年12月26日

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