安楽死を遂げた日本人

著者 :
  • 小学館 (2019年6月5日発売)
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『感想』
〇人の命は誰のものなのだろう。その人自身だけのものなのか、家族やその周りの人のものでもあるのか。

〇自分が苦しいことなら我慢できても、苦しんでいる家族を見ているのは我慢ならない、この感覚は大概の人は持っていると思う。かと言って死んでしまったら苦しみから解放されるわけではない。

〇本人は死んだら終わりかもしれない。だが残されたものはその死を一生背負っていかなければいけない。

〇本人は自分の死に対して、家族は本人の気持ちを理解したうえで死を受け入れる覚悟を持ったうえでないと安楽死はしてはいけない。

〇安楽死した小島さんのご家族は安楽死を受け入れることができた。これって家族愛なのだろうか。こればかりは当事者でないとわからないし、他人が勝手に批評するべき部分ではないな。

〇家族のために苦労をすることを苦労と思わない。そこまで感じさせる関係を築いていけるだけのことを普段からしているだろうか。

〇日本で安楽死を認めるかどうかはもちろん議論をし尽くした上で決めていけばよいとは思うが、日本でできないからスイスに行かなければならないという現状では、スイスに行ける体力があるうちに決断しないといけないという、結果として命を縮ませる現象を生み出しているのが何とも言えない。

〇幸せだけれど楽しくはない、この言葉は考えさせられた。楽しさの先に幸せがあると思っていたが、ベクトルが違うこともあるのか。楽しいは一人でも味わえるけれど、幸せは周りとの関わりの中にあるものなのかもしれない。例えば自分の子が好きな人と結婚をして自分のもとを離れて暮らすことは、自分にとっては幸せに感じるけれど楽しくはないのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学
感想投稿日 : 2021年6月27日
読了日 : 2021年6月27日
本棚登録日 : 2021年6月27日

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