【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社 (2017年1月12日発売)
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岩木一麻さんの2017年度「このミス」大賞受賞作の本格医学スリラーにして陰謀小説の傑作です。冒頭で「がん消滅」トリックが即種明かしされて「そうか要するにE・クイーン「神の灯」の応用技なのか」と落胆しましたが、やはり高評価作とあってそんなに単純ではありませんでしたね。結果的にトリックの大筋は偶々当たっていましたが、他にも終盤の予期せぬ急展開と最終行のサプライズは素晴らしかったですね。殆ど会話体で淡々と進む物語なのに読ませる理由は医学知識が勉強になる為でしょう。でもこんな悪夢が現実化しない事を切に祈りますね!

まあ本書のテクノロジーが現時点で実際に実現可能かどうかは存じ上げませんが、こんな悪徳医師はいないでしょうしチェック機構も働くだろうし警察も頼りになる事を信じたいですね。本書について2点だけ腑に落ちない事を書きますと、まず当事者には周知の事実なのにDNA調査をやる意味があったのか?という点で、仮に後々の事を考えての「するフリ」だったとしても何か釈然としませんね。それからこれは著者がわざと筋書きを誘導した為だとは思いますが、夏目と羽島が謎の解明をあっさりと諦めて如何にも怪しい宇垣医師を追求しなかった点ですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年8月15日
読了日 : 2019年8月15日
本棚登録日 : 2019年8月15日

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