倉橋由美子らしい掌編がたくさん読めて嬉しい~!「全体として、残酷といふよりも救ひのない話が並んでゐますが、いづれも「自業自得」の世界に属しますから、愚行は罰せられ、賢い者はそれなりの正当な報いを手に入れる結果になつてゐます。これが全体を通じての教訓といふことになるかもしれません」に集約されていますが、自分に責任を持つという当たり前のこと、しかしともすると最近はそれが重いことであるかのように取られかねないことが堂々と書いてある。私は好きです。
話として好きだったのは、「世界の果ての泉」「かぐや姫」「故郷」「天国へ行つた男の子」「鬼女の島」「飯食わぬ女異聞」「人は何によつて生きるのか」あたりですかね。グロテスクな話の方が、エロさ前面よりも好きだった。最後に太字で一文書かれている教訓が、いかにも倉橋節で最高でした。
特に「世界の果ての泉」の真の愛とは醜いものを愛すること、つまり不可能といふこと、「天国へ行つた男の子」の神様とはつまりお化けなのです、とか好きだったなあ。老人のため~も読みたいです。
それから素敵な挿絵は『城の中の城』と同じく山下清澄さん!すてき!好き
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
純文学
- 感想投稿日 : 2023年10月12日
- 読了日 : 2023年10月11日
- 本棚登録日 : 2023年10月11日
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