理論物理学者が原子の国に行くならともかく、カムチャッカに何をしに行ったのか。副題に惹かれて読んだ。最初のうちは準結晶を見つけるまでの話。ありえないとされていた、5回対称性を持つ構造を探す話。二次元の話はなんとなくわかるのだけれど、立体になるとなかなかイメージできない。次に準結晶が天然に存在するかという話になる。数えきれないほどの鉱物資料にあたり、ようやく発見したら、今度はそれがどこで採取されたかという謎があり、次々に出てくる問題を解決した結果がカムチャッカというわけで、実際にはカムチャッカから実験室に戻ってからも、さらに謎は続くのだ。理論的なところは、それなりにすっとばしても、著者の問題に取り組む姿勢や、登場する人たちの魅力で、とても楽しく読んだ。(登場する人たちについて、とても魅力的に書いているのは、著者がきちんと敬意をもって接しているからだと思う。)理論物理学って、思っていたよりもアクティブな学問だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年1月29日
- 読了日 : 2022年1月29日
- 本棚登録日 : 2022年1月29日
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