いくつもの週末 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2001年5月18日発売)
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本棚登録 : 4928
感想 : 411
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結婚してもうじき二年になる秋からもうじき三年の秋までの間に書かれた、著者の結婚にまつわるエッセイ。


文庫本にて再読。
結婚生活の中で著者が感じることをこんなに生々しく書かれてしまって、読めば読むほど、そうだよ、結婚ってそうなんだよ!と強く同意したくなりました。
独身の時に読んで、確か新婚時期にもう一度読んで、今回は十年以上の時を経て再度出会い読むことになりました。
独身の時は、結婚なんていいことないやんかと絶望し、新婚時期は、そうそう、結婚ってそうなんよね、でも深く考えてはいけないと少し距離を置いて。
結婚生活も熟してきた頃に読むと、また新鮮な捉え方ができました。
何より思ったことは、江國さんが可愛らしいということです。そして、結婚生活二桁目に突入してしまった私にはもう、この可愛らしさもいじらしさも、ある種の面倒くささも出すことはできないのだなとしみじみ実感してしまいました。

新婚時期の私はこの本の中の江國さんと同じように、自分の生活空間に他人がいることの窮屈さと喜びを感じ、目についてしまうあれやこれやをその都度指摘注意し、夫であるこの人を、自分自身のために私の夫たらしめなければと奮闘して失望していました。声を荒げたことも少なからずありました。
十年経って読むと面白いです。そうだったなぁと思い馳せながら、それらのこだわりの全てを捨てきれず、妥協できていなかったら、とっくに離婚していたのだろうなあと思いました。
私は堪え性のない人間なので、三度同じことが続けばもう失望して諦めます。そうして諦めてきた事柄や、失望が蓄積されていき、いずれ爆発して離婚だ!!となると思っていましたが、今のところ大丈夫そうです。
ただ、そうして捨ててきた自分の感情の欠片がこのエッセイのあちらこちらに散りばめられていて、とても眩しく映りました。
私がもう失ってしまった感情。決して戻りたくはないけれど。

江國さん、離婚されていると思い込んでいました。いつかのお話、物語でそれらしいことを書かれていて勘違いしていました。
このエッセイを読む限りでも、このままではこの結婚生活は長続きしないよねと思っていましたが、余計なお世話でした。今もう一度、結婚生活について語ってもらいたいと思っています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年10月9日
読了日 : 2022年10月9日
本棚登録日 : 2022年10月9日

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