神谷美恵子日記 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2002年1月24日発売)
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すごい人間だなぁとただただ。



軋轢のある、神経の緊張した、なやみの多い世界でないとだらぢがなくなる。

こういう大きな目的に向かうからには、それ相応に犠牲の要求せらるることもあろうことを、ここに改めて覚悟する。よろしいか

利他的に衝動とともに、純粋な(学問的・美学的)が私に存する。私がもし何か研究したり、創作したりしたとしても、それは決して「人類のために」などではない。

人類愛と学問と芸術とに一切の力を昇華しつくしてしまおいという生き方

私と普通の人との間のギャップは大きくなる、やがて普通の社会や家庭生活から締め出される。というより自ら締め出す日が必然的に来る事はわじゃっている

一度世を捨てた人間

自己を失って途方に暮れているという感じだ。自己を失うのか!と思うと愕然とする。その自己は何処へ行ったのだろう。私がものを考えたり、創ったりする能力を失ってしまうのだとしたら!

私はゲーテではない。自分の書いたものが、文学的な客観的な価値などを持とう筈もない。しかしもし書くことが、自己の成長の上に必要な過程なら、旧い段階から新たな段階へ飛躍していくための必要な一つの脱皮なら、ひそかに、常に、書いていいわけではないか。

小説をこしらえるのではない、文学するのではない、単に呼吸するに過ぎないのだ。本気に、自分に対して責任を以て生きようとするにはどうしても書かぬ訳にはいかないのだ。書くのをこらえていじいじと苦しむより書きまくって苦しむ方がいい、

文学という風に考えれば他と対立するけれど、何も文学者になろうなんて考えを起こすわけじゃない

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感想投稿日 : 2015年9月24日
本棚登録日 : 2015年9月24日

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