怪盗の伴走者 (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社 (2015年4月27日発売)
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本棚登録 : 139
感想 : 28
4

ロータスの過去が描かれた巻だった。
安西検事と何かあるんだろうなとは思ってたけど、何かあるどころじゃなかった。非常に良質な萌えだった。
男同士の切っても切れない腐れ縁、友情、絆、非常に尊い。大好物だから堪らなかった。

ロータスこと蓮と安西検事こと省吾は、自分が思っていたよりもずっと昔からの友人だった。
まさか中学校の頃からなんてな…。で、20歳近くまでだから、7〜8年くらいの付き合いか。
あの多感な年頃の友情ってのは特別。
誰にも執着しなさそうな蓮が省吾に執着したのは、本質的なところもあるだろうけど、やはりその時期に知り合ったのも結構大きいとこだと思う。
あの頃は一度打ち解けると色々なことを深く共有する。
そして、蓮と省吾もまた様々なことを共有してきた。
最初の出会いからそうだよな。
そこから、米相場、蝶博士の偽物退治、凌雲閣。
米相場での騒動の時、省吾に氷水屋のおじさんから助けられたあの時に、蓮の中でもう決まってたんじゃないかな。省吾を伴走者にすること。
確定したのは、蝶博士の偽物退治のとき、炙り出し方を省吾に聞いたら自分と同じ方法を言ったとこ。
あれで、同じ速さで走れる相手と見定めたんだろうなぁ。
そのことを巴里へ渡仏してたときに出来た友人、いつだったか礼と高広が解いた事件の人だとは。
色んなとこで繋がってんだな。というか、蓮の顔の広さが凄いんだ(笑)
その人に省吾のことを友人といって語るくらいだから、渡仏断られても尚諦めてなかったんだな、って。
あんな飄々としてる蓮だから、省吾に執着してる行動がより目立つ。

省吾も、やはり最後は蓮のことを見切りきれなかった。大切で特別な友人のままだった。
罠にかかるのを阻んでは、この先検事としてやってけないし、どうしても蓮の方へ惹かれて行くよなぁ。
結局、蓮の思惑通り、省吾は辞表出して蓮のとこへ自分からいっちゃったな。
それで良かった気がする。検事としての道もあったのだろうけど、今ひとつ蓮のことがどうしても離れないから検事に徹底出来ないだろうなって。

高広が止めなかった理由、自分も同じように思ったよやっぱ。
怪盗は孤独の道。この先一生一人はつらすぎる。誰か側にいて支えてあげる人がいたら、とは思わずにいられない。
それも相手が幼馴染だなんて理想的過ぎる。
結果を見れば、世間的、道徳的にはよく思われない。
でも、あれで良かったと思う。

コナン・ドイルと幼馴染の繋がりにびっくり。
まさかこんなとこで出てくるなんて。

はぁ、男同士の切っても切れない縁が非常によろしい巻だった。
早く文庫化にならないかなぁ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2016年1月28日
読了日 : 2016年1月27日
本棚登録日 : 2016年1月27日

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