攻撃―悪の自然誌

  • みすず書房 (1985年5月1日発売)
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本棚登録 : 324
感想 : 18
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以下、抜粋メモ。

第14章
p361 
攻撃性というものの性質について、わたしたちの持っている知識は、今ではまだつましいものであるけれども、それでもまったく利用価値がないとはいいきれない。知識というものは、もし何がうまくいかないかを教えてくれることができれば、それだけでも利用価値があるのである。

「アグレディ(aggredi)」という言葉のそもそののそしてもっと広い意味は、課題や問題をとらえること、みずからを重んじることである。これがなければ下は毎日ひげをそることから、上は最も高尚な芸術的もしくは科学的創造にいたるまで、ひとりの男が朝から晩までに行う大部分の行為が姿を消すだろう。

p371


p374
現代が無味乾燥で、青年が深く懐疑的であると嘆く人が多い。このふたつの現象はしかしながら、かつて人々ことに若い人々が完全にだまされた作られた理想、熱狂を解発するわなに対して反対するところの、それ自体健全な防御から発しているのだとわたしは信じるし、そうあってほしいと思っている。まさにこの無味乾燥状態を利用して、かたくなな不信につきあたったとき、数量的な証明によってあらゆる懐疑を無力化しうる科学の真理をすすめてはどうかと思う。科学は密教でもなければ魔法でもなく、簡単な方法で人に教えられるものだ。まさに無味乾燥な人たち、懐疑的な人たちこそ、証明可能な真理やこれにともなういっさいのことに対して熱狂いうるのだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2015年10月27日
読了日 : 2010年2月16日
本棚登録日 : 2010年6月16日

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