紋章と時間: 諏訪哲史文学芸術論集

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  • 国書刊行会 (2018年3月27日発売)
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音楽、そして声にかんして、精神分析学者のJ・ラカンは晩年のセミナール、いわゆる「アンコール」において、ララングlalangueという、じつに奇妙な概念を提示します。ララングとは、端的にいえば、伝えることには興味のない、「ただ発することそのものを快楽とする」ことばのいとなみです。ララングは、身体と声との原初的なエロティシズムをつかさどるもので、はじめ、天上から聴こえる音のように、母の鼓動や呼吸、意味以前の声など、音の反響する胎内から外界に出てきた胎児を、なお忘れがたい母胎として包み込もうとするもの、それがリズムやトーンなおの、謡いと沈黙の無時間の感覚世界の、ことばならざることば、つまりララングえす。

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感想投稿日 : 2018年8月18日
本棚登録日 : 2018年8月18日

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