大島弓子というと、代表作の『綿の国星』や飼い猫・サバを主人公にした作品が人気ですが、乙女心をくすぐるという点では、やはり少女を主人公にした短編の数々の方がおすすめです。
「ほうせんか・ぱん」の主人公、みどりの親友マーヤは、大人びた性格で人気者なのに、ある時から突然、身の回りの物を売り始めたり変なところでアルバイトを始めたり…、みどりや大人たちを心配させます。マーヤだけでなく、大島作品に出てくる風変わりな少女たちの突飛な行動や妄想は、周囲の人々を困惑させますが、それには少女なりのきちんとした考えがあってのこと。人からどう思われるかを気にするより自分の考えを貫く少女の切なさは時代も年齢も超えて、読者の胸を打つのです。
舌の上でさっと溶けるはかなさと、いつまでも記憶に残る確かな甘さ。大島作品を読むたびに、乙女が大好きなそんなお菓子を一つずつ大切に食べているような気持ちになります。
読書状況:未設定
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2010年6月28日
- 本棚登録日 : 2010年6月28日
みんなの感想をみる