宮本輝の小説はすべてがハッピーに終わらず、現実というのは山あれば谷もあるというのを暗に示しているような話が多いがこれもそう。
結果的に見れば、主人公は大学に行かせる手助けをして、医者になれる道筋を作った挙げ句違う男に乗り換えられて恋は終わる悲しいストーリー。
しかし女がひどいかといえば、このままだと破産する男から金の心配せず大学生活を送ることができる男に乗り換え、結婚後も安泰なわけで誠に合理的。
でもこれじゃあ主人公はバッドエンドじゃないかと思いそうだが、本当の「愛」ってやつを受け取った四人での生活は、今後彼が得ようと思っても得られない経験であるだろうし、無駄ではないんじゃなかろうか。いやそう信じたい・・・。
なんともほろ苦い気分になる、大人の小説。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本人作家
- 感想投稿日 : 2022年2月12日
- 読了日 : 2022年2月12日
- 本棚登録日 : 2022年2月12日
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