そういえば三島由紀夫の享年は45歳でしたね。たぶん偶然でしょうが、本作では45歳と設定された人物が二人も登場するので、妙に印象深いです。
上の理由でなくとも、本作は三島作品の中でも殊に「異色」と言われることが多い作品なので、その分他作とは違った読み応えもありますね。手紙の模範をかたどりながら、しっかりとお話が進んでいくのは、やっぱり面白いです。山トビ夫が手紙の精神分析をするくだりなんかは痛快で三島らしいエスプリに富んでいます。
…それにしても、「手紙」すら廃れようとしている現在、本作に示唆される手紙の粋な感じはなんなのでしょう。メッセージアプリで簡単な雑文を取り交わし、プライバシーとは言いつつもどこかふわふわとした言葉のやり取り…。普段の自分の文章にヒヤリとする感覚もあるのでした…。
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- 感想投稿日 : 2022年11月21日
- 読了日 : 2022年11月21日
- 本棚登録日 : 2022年11月21日
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