自称パンク作家の飼い猫は主と普通に会話するらしい。はは、あほちゃうか。おもろ。と普通は嗤ってしまうところだが、あの妖怪めいた著者の存在感を思えばさもありなんとしばし黙考。相変わらず文章は抜群のグルーヴ感で思弁に思弁が転がり続ける面白さに溢れてるのだが、猫への愛情と喪失に直面した時、普段は見せない愚直さが顔を出している。対象へまっすぐと届けようとする、恥も外聞もない剥き出しの優しさ。それは主従関係ではなく1体の生物として猫と向き合っている姿勢から生まれてくる。やはりいつだって町田康は最高なのである。ずるい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2015年6月18日
- 読了日 : 2015年6月18日
- 本棚登録日 : 2015年6月18日
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