日輪の賦 (幻冬舎時代小説文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2016年6月10日発売)
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本棚登録 : 198
感想 : 20

律令を完成させることで、日本が唐や新羅と渡り合えるような中央集権国家となることを目指した、人々の物語。
持統天皇が主人公かと思ったが、彼女は大きな骨組みとして存在し、実際には兄が殺されたことが遠因で法令殿で反対派の動きを探ることになった廣手を中心に、世捨て人のふりをしつつ持統天皇を支える葛野王や、百済から亡命してきた渡来人、男装の女官人など、様々な人の想いが律令という目標に向かって収束していく。
終盤、火事が起こり、律令を持ち出そうとする場面が好き。特に宝然と廣手のやりとりが胸熱。
そして律令は完成し、持統天皇は累代の大王が守り継いできた権力を打ち砕き、律令の網の中に押し込んだ。国号も倭から日本となり、新しい世が始まる。その希望と胸の高鳴りを一緒に体感するようなラストだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エンタメ
感想投稿日 : 2023年2月1日
読了日 : 2023年1月22日
本棚登録日 : 2023年1月2日

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