南方熊楠 地球志向の比較学 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (1981年1月7日発売)
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感想 : 22
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生物学の研究と民族学の研究は、彼の好奇心が動かした。権威や名声は求めない、純粋な好奇心が欧米、アジアの国々へ足を運ばせ、言語の壁をもろともせず、世界に向けて寄稿した。そして、その好奇心が彼と関わる地域住民や各国の著名なリーダーや研究者を惹きつけたのだろう。そして、往年の生物学への研究はエコロジーの考えに基づいたはず。”全ての事象は、他の全ての事象と関わりがある”。科学的因果関係、仏教的輪廻因果、南方曼荼羅もそれを踏まえている。神仏合祀の反対意見書、壮大であり、明確であり、自身の経験や知見を存分に書き連ねた。地域には地域特有の歴史背景や自然環境をもち、そこで生活する人たちの文化や心身に少なからず影響し、けっして地域を語る上で無視できない。という考えは、生物学と民俗学を生涯にかけて研究した彼だからこそだろう。彼の著しを知った私は、彼に尊敬を表すと共に今後の人生において彼の知見を心に留めておきたい。そして、彼の気伝を研究した著者にも感謝を表する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年9月29日
読了日 : 2022年9月29日
本棚登録日 : 2022年9月23日

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