こころ (ワイド版岩波文庫 204)

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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000072045

感想・レビュー・書評

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  • 日本人の価値観が変わっていっている中で、明治終わりの日本人の価値観がどうだったかを感じられる。
    真面目。融通が効かない。恥ずかしがり屋。自分が思ったことを正直に口に出せない。自分のやりたい事を素直にやれない。
    登場人物の言動に、素直に言えばいいのに!とやきもきさせられる。けど、共感もできる。
    自分の性格のルーツを感じた気がしました ^_^;

  • 両親を亡くした先生は、政略結婚をさせられそうになった挙句財産を誤魔化されて人間不振になる。
    下宿先のお嬢さんに初恋をし(恋に対する信頼は健在)、しかし母親が自分の財産を目当てに近づいているのではないか、という疑惑との板挟みになり、気持ちを打ち明けられない。
    そんな所へ、先生は半ば無理矢理Kという幼馴染みの親友を同居人に加える。男気があり、成績優秀で、自分は到底敵わないKへ嫉妬心が起きる。
    そしてKはお嬢さんに恋してしまう…

    読み返してみたら、叔父に裏切られたという人間不振のきっかけを忘れていたので、先生の苦悩が前よりしっくり来た。

    人間失格のように、読んでいてやりきれない苦しい気持ちになった作品。
    文章がシンプルで綺麗。殆ど『た』で終わっているが、一文の長さが上手くリズムを取っていて読みやすい。不思議。

  • 「こころ」
    先生とのお話。


    こころ。小学生か中学生の頃ちらっと読んだ以来です。当時は、夏目漱石作品の面白さが全く分かっていなかったし、例えば、「吾輩は猫である」も何で名作と呼ばれているのかさっぱり分かりませんでした。当然私は、猫が主人公と言う取っ付きやすい物語にもかかわらず、興味を惹かれる事もなく、最後まで読み切れなかったのです。


    そんな私なのだから、題名がこころと言う崇高なもので、中身も先生の覚悟や苦悩がびっしり出てくる本作を読み切れるはずも無かった訳です。


    しかし、10数年経った今、やっと読み切る事が出来ました。さて感想ですが、まず先生に憧れを抱いた「私」が勝手に失望し、悲しんだり怒ったりするのは、憧れを抱く側の心情としてはあり得ると思うけど、海にいたおじさんに憧れを抱くと言う所にリアリティを感じませんw


    しかし、このリアリティの無さは、どうでも良くなりました。先生が抱えているものにとてもリアリティがあり、人間の本質が先生を通して透けて見え、もう海のおじさんに一目惚れしたなんて忘れちゃうのです。特に、「私」を信じて行く心情の過程や奥さんの心の描写、2人の間に入る「私」の感情なんか人として抑えるべき所を抑えていると言うか、人を語る上で避けて通れない箇所を見事にずばっと指摘しているように思います。だから説得力が文章からひしひしと感じる。


    先生の覚悟を「私」に伝える所が一番の読みどころであり、それが奥さんとの関係を紐解くキーになるのだろうけど、私はそこに辿り着くまでの過程の方に惹かれました。


    さて次は何を読むべきか。果たして夏目漱石を好きになれるか。今年の挑戦の1つです。

  • 好き、とはちょっと違いますが、
    漱石の作品はと訊かれて一番に挙げる作品。
    忘れられない一冊です。

  • 高校の授業でも出てくる日本小説の名作です。高校生の時なんて読みにくい小説や、って思いながら読破しました。時代を感じました。当時の人と今の人とは考え方、常識が少し違っているような気がしました。でも人間の本質みたいなのは変わらないんだと読んで思った。さすがですね。

  • 名作には理由がある。多くの人の支持を受けているものは、それだけの理由があるのです。
    多くの人が一度は目を通しているはずです。それから年をかさねて多くの経験をしていることでしょう。ならばもう一度この本を開いてみてください。あの頃とは違った感想を抱くはずです。

  • 百年近く前の話でも、今の自分たちと重なる点は多い。根源的な部分は変わらないということなのかな。

  • 結局Kの覚悟とはなんだったのでしょうか。<br>
    何だかお嬢さんに対する恋心よりKに対する葛藤の方が多くて……。

著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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