ホロコ-ストを次世代に伝える: アウシュヴィッツ・ミュ-ジアムのガイドとして (岩波ブックレット NO. 710)

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  • Amazon.co.jp ・本 (70ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000094108

感想・レビュー・書評

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  • この目でアウシュヴィッツを見るまでは死ねない

  • 荻上チキ、ヨシタケシンスケ「みらいめがね」を読んで絶対手に取りたくなった一冊。アウシュビッツの生き残りの方の、ドイツ人の若き来場者への「君たちに戦争責任はない、ただ二度と繰り返さないために何ができるか」という言葉、 沖縄へ、ダルフールへ、想像力を向けるべき、という著者の言葉の重さ。自由民主主義社会、歴史の相互認識、差別と偏見の三点を重視して案内しているという著者の姿勢。ドイツのみならず協力国のとった迫害行為についても研究が進み明らかになっている現状。強制収容所の残忍性のみならずそれを可能にしたシステムにも注目すべき。ナチスの政策が個性を消すものなら、我々はそれを尊重せねば。といった提言が、心に留まる。

  • 2020.12.09 図書館

  • 小さな本だが洞察に満ちた言葉が並ぶ。
    ガイドがボランティアではなく、公式ライセンスを試験で取得して初めて行える「仕事」だという。その試験、採用後の扱いなども面白く読めた。

  • アウシュビッツ訪問を考えているため読んだ。

    いろんな感情があるのかないのか、入り乱れて言葉にならない...

    人を民族や何かで線引きして、それだけの理由で、殺されてしまっていた、
    民主主義で選ばれた政府の方針で。
    思考停止して周りに流されないよう、歴史を学んでどうすれば同じことを繰り返さないのか考えよう。

  • NPO法人ホロコースト教育資料センター
    https://www.npokokoro.com/

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    ナチス・ドイツにより110万人以上の人びとが殺されたアウシュヴィッツ強制収容所.その跡地に建つミュージアムは,1947年の創立から現在に至るまで一貫してホロコーストの歴史を伝達してきた.唯一の日本語公認ガイドである著者が,日々の活動や見学者たちとの対話を通して,今の時代に歴史を伝達することの意味を考える.

    ■著者からのメッセージ
    まだ6月だというのに真夏を思わせるような日差しのなか,今年も歴史の証人たちがアウシュヴィッツへ戻ってきた.1940年6月14日は,728名のポーランド人政治犯がはじめて強制収容所へ連行された日で,その後4年7カ月も続く地獄の収容所の開設日と定められ,毎年追悼式典が催されている.このアウシュヴィッツ生き証人の集いは,今から60年前の1947年に,その地獄から生還した元収容者たちと犠牲者の遺族,そして地元の住民たち合わせて数万人がアウシュヴィッツからビルケナウ(アウシュヴィッツ第2収容所)まで平和行進したことから始まった.
      同時に,収容経験者が中心になって準備した「アウシュヴィッツの歴史」に関する展示が,収容所だった敷地内ではじめて公開された.当地へ戻ってきた元収容者のなかには「もし,我々のなかで誰かがこの地獄を生き抜くことができたら,2度とこのようなことが繰り返されないために活動しようではないか」という,かつての仲間たちとの誓いを果たそうとする人もいた.
      ポーランドは1947年7月2日に,強制収容所の跡地を国立ミュージアムとして永久保存しながら,戦争犯罪の物的証拠を収集・管理,そして学術研究する機関と定める国会決議をおこなった.元収容者が職員となり,強制収容所の歴史を伝達する博物館が公式にスタートした.1979年には戦争に関連する対象としてはじめて,ユネスコから世界文化遺産に指定された.(中略)
      今年で還暦を迎えたこのミュージアムで,私は訪問者の案内役(ガイド)として10年間を過ごしてきた.日本人として,いやそれ以上に21世紀を生きる1個人として,歴史伝達という使命のもとで歩んできたミュージアムから学んだことは多い.日本から遥か数千キロも離れたポーランドを訪れることは容易ではない.そんな読者のために私の経験を紹介したいと思う.
    (「プロローグ」より)
    https://www.iwanami.co.jp/book/b254248.html

  • 〇日本人として、ポーランドのことを・ホロコーストのことをどれくらい伝えられるのか
    この本はアウシュヴィッツ博物館の内容と、筆者がガイドとしてアウシュヴィッツ博物館に関わってきた中で感じたことを2章に渡ってまとめている。

    第二次世界大戦中にドイツ占領下となったポーランドで、ユダヤ人を即座に処分する「強制収容所」として建てられたのがこのアウシュヴィッツ強制収容所です。その収容所でのユダヤ人の扱いは、描写するにはひどすぎる。よく、見てもいないのにこんなにもありありと、しかもイメージの沸くように書かれているのだろう。

    日本人がアウシュヴィッツの博物館を案内するなんてどういうことなのか、と思ってはいたが、きっかけは意外と小さいころに経験した講演会だった。小さなきっかけでもいいのだ。ポーランド人でも当時の状況がもうわからない世代だ。
    どのくらい、昔のことを理解しようとし、寄り添おうとし、見学に来た人に対して問いかけたり投げかけたり、ときには感じたことを受け取ったり・・・と、なんとなく当たり前だと思ってしまいそうだが、意外と苦になるものだ。
    それほど筆者はポーランド人と日本人の違いも理解しつつ、来てくれた人への最大満足を試行錯誤しながらガイドをし、この本を書き上げたのだと思う。

  • 見学後に読んだ。博物館の精神や中谷さんの考えが、読めばわかる。
    コンパクトでよみやすい。

  • 「嘆き悲しむのではなく、どうしてこんなことが起こったのか考えていきましょう。二度と同じ過ちを犯さないように」
    この本を読むとても悲しくなる反面、頼もしい人たちを知ることもできる。人間が薄々持っている差別意識を徹底して表面化させたヒットラー。中谷さんが「僕の話を受動的に聞いている皆さんは既に僕に支配されています」とおっしゃっていたのが印象的だった。
    少なくとも、ナチの被害者でない人々が、客観的に考えていかないと。

  • アウシュビッツは昔行った。日本人としてガイドとして頑張ってもらいたい。ここでの歴史は忘れてはいけない。忘れないことが人類最大の責任です。
    二度とこういうことを起こさないこと。人間の強さ、弱さあらゆることを感じる。

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