幽霊塔

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 1016
感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000254199

感想・レビュー・書評

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  • 色褪せぬ面白さ。撒かれた謎が、終盤一気に解決していく。

    あと、宮崎駿の口絵もステキ。コンテとか宮崎アニメそのまま。というか、本人か。

  • 乱歩の作品はどれを読んでもワクワクします

  • 久々の江戸川乱歩。
    いかにもなこの雰囲気と読者への語り。
    とても懐かしく面白く読んだ。

    カラー口絵の宮崎駿絵コンテは、かなり嬉しい。
    この想像創造力。見事。
    しかし、もし映画になったとしたら、良くも悪くも、この雰囲気は全く違う物に変わってしまうのだろうなと思わせた。
    ある意味、流石は巨匠。

  • まあ、なんというか怪人二重面相的な大衆サスペンス小説で、緻密な構成とか練られたトリックはなくて、あくまでハラハラドキドキを目的に書かれ、最後はハッピーエンド。宮崎駿の少年時代にはこれはかなり刺激的な読み物だっただろうけど、今読むとツッコミ所満載、キャラクターが漫画、やたら煽るなど、懐かしく感じない若者はどう読むのだろうと思う。
    特に主人公の浅はかさが笑える。
    江戸川乱歩の大人向け小説は背徳的で耽美的、なかなか良いけど、これは子ども向けかな。ちょっと猟奇的なシーンはあるから中学生以上だけど。まあ宮崎駿の口絵でかなり手に取りやすいものになったなあ、と。春陽堂の本は学校図書館には置けない感じだから。
    主人公の一途なバカさが子どもにはまっとうに映るかもしれない。
    駿の口絵は結構ネタバレなので、本編を読んでから読んだ方が良い。宮崎駿の女性は妖艶さには欠ける。でもいい加減な時計塔をあれだけリアルに描写できるのは凄い。

  • 宮崎駿の口絵付き・ジブリ編集~大正時代の長崎・元判事は江戸末期に財をなし,西洋技術で時計塔を建てた豪商所有の西洋館を買い取ったが,豪商は自分が作らせた地下の迷路で死に,その後所有した婆も養女・ぎん子に殺されており,いつしか幽霊塔と呼ばれている。元判事の甥・北川は幽霊塔に乗り込んで美女に出会い,一目惚れに落ちる。女性の名は秋子。捩子の巻き方を教えると叔父を呼び出し,叔父は無礼な養女・栄子を離縁し,秋子を養女にして北川と結婚させ,家を継がせる気だ。養女披露の日,栄子が伴って来たのは元の持ち主の養子である長田で,秋子は元女中が化けているのを暴露しようと企てたが,違っていた。秋子は何やら秘密を持っており,それを強請の種に黒川弁護士から結婚を迫られている。栄子が首なし死体として池で発見されていたが,探偵は別人だと断定する。秘密の通路の暗号を盗まれ,長崎の養虫館に送られたらしいが,そこに隠された中二階に閉じ込められ殺されそうになっている所を辛くも脱出し,東京の医師の住所を聞かされて訪ねると,電気メスを開発し整形術を極めた医師から,秋子は祖母殺しのぎん子であることが明かされる。黒川弁護士宅から一足早く幽霊塔に戻って時計塔から地下の迷路に足を踏み込んだ秋子を追って,北川も地下迷宮から江戸時代の豪商が残したお宝に辿り着くが,下界に出てくると,北川の居室は猿と長田の死体,栄子は気を失っていた~ジブリ美術館で幽霊塔を特集展示して,本も編集し売り出す・・¥2000でも売れるっと!

  • 「幽麗塔」にはまった時に読んで以来。涙香版の方が好きだった気がするのですが、やはりこっちはわくわく感が半端ないです。
    もう、映画化しちゃえばいいのに。(幽麗塔でも可!)

  • 秋子の素性が気になって、最後の四分の一くらいを一気に読んでしまった。先生の、自然の美と戦う仕事だという話が印象に残った。

  • 乱歩×宮崎駿。
    宮崎駿の絵で建物内部の図解が見れるなんて、なんて贅沢なんだろうか!
    ストーリーの方は、光雄が秋子にべた惚れ過ぎて、秋子可愛さに探偵殺しかけたり、盲目的なところがどうも好きになれなかったので、乱歩作品では珍しくあまりのめりこめなかった。奇妙な仕掛けのある時計塔はめちゃくちゃ好みです。
    本当にジブリで映画化してくれないかなぁ。

  • 宮崎駿さんのカラー口絵につられて、およそ数十年ぶりに読み返しました。あの当時の自分では理解できなかった事柄が理解できたことにより、より面白みが増したような気がしました。宮崎さんのページだけでも読む価値ありですよ!

  • 宮崎駿氏が夢中になった小説というのに惹かれて読みました。やはり現代の小説の感覚でいえば、序盤の階級社会が色濃く残った差別的な描写があったり、
    人物の思想行動が荒唐無稽だったり、読み終わるとややご都合展開だなぁと感じる点は否めませんが、
    終盤に差し掛かかって謎が少しずつ明らかになっていくのは読んでいてとてもワクワクしました。
    しかし私が感じるこの作品の魅力は物語そのものではなく、黒岩涙香の「幽霊塔」を江戸川乱歩がリライトし、
    その黒岩涙香が「幽霊塔」翻案元を正しく表明しなかったせいで、
    近年までの100年余り、元ネタの「灰色の女」という小説が埋もれていたという点が一番面白かったように感じます。
    さらにその「灰色の女」も「白衣の女」という作品から一部借用している部分があるそうで、少なくとも4人が関わっているんだから面白いのは当然だな、と合点がいった次第です。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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