はてしない物語 上 (岩波少年文庫 501)

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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145014

感想・レビュー・書評

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  • 紹介者:1年生
    <紹介者からのコメント>
    この物語は主人公の少年が本を盗むことから始まります。
    その本に書かれている物語を読んでいると少しずつ物語の中へと引きこまれてしまいます。
    その中でできた親友をつくる物語。その物語を越えての友情などが見所です。
    (映画『Never Ending sotry』と同じ話です)

  • 【文庫版で再読】

    感想は下巻にて。
    ちょうど良いところで上巻が終わった、、

  • 現実と本の世界が徐々に一つになっていく様が本当に面白い。一つの通過儀礼でもあり、母親の死から立ち直るために必要な事だったに違いない。エンデがいかに子供の内面に秘めた強さに心惹かれていたかわかる一冊。

  • 原書はドイツ語で、1984年に刊行された。映画「ネバーエンディングストーリー」の原作といえばわかりやすいかもしれない。しかし映画となったものに原作者のエンデは不満で、裁判までおこして原作者たることを拒否しようとした。映画のヒットとは裏腹に、文学と映画の微妙な関係があったのだ。たしかに映画ではラストを、いじめられっ子だった少年が白い竜に乗っていじめっ子たちに復讐するというシーンにしていて、これは原作にはないものだしどう見ても筋違いの結末だ。とはいえ、監督はヴォルフガング・ペーターゼン、その後「Uボート」を撮ったドイツを代表する巨匠である。
     物語は古本屋からはじまる。バスチアンという少年が入って来るが、店主は子供嫌い、追い出されそうになる。それでも本好きの少年は店主が読んでいた本に興味をそそられ、それをこっそり持ち出して、一晩読みふける。幼ごころの君がいるファンタ―ジエンという国が虚無に侵食されていて、それを救うために英雄アトレーユが呼ばれ、冒険の旅に出ると言うお話だ。ところが旅のはてに訪ねあてた老人は一心に本を書いている。 
     その本には古本屋が出て来てそこに少年が現れ・・・と書かれていくというところまで読み進めてバスチアンは、これはひょっとして自分の話なのではないかと思いはじめる。そればかりかこの国を虚無から救うには「ひとの子」が必要なんだと書かれている。こうしてバスチアンは物語の世界の入っていき自らその登場人物になって、また新たな物語が始まる。
     本の世界では映画と違ってこうした現実世界とファンタジー世界との行ったり来たりがくりかえされていて、ドイツ語の原書ではその二つの世界の描写部分がそれぞれ緑と赤の印字で色分けして印刷されている。だが問題は、この少年がやがて現実に帰ってきたくなくなることだ。このあたりは現代のネットゲームにのめり込む若者の姿のようでもある。いかに彼が現実に帰ってくるか、そしてこの行ったり来たりにどういう意味があるのかは読んでのお楽しみ。
     エンデは「遊びSpiel」の大切さを説いている。遊びによって現実が癒され、人間性が回復する。その無目的な遊びに浸ることが文化を作ってきたともいえる。現代社会はそれを忘れてしまったことで危機に陥ってしまったのかもしれない。だが一方で遊びが現実逃避になってしまうことも現代の問題でもある。大切なのは、この二つの世界の交流なのだろう。
     ちなみにこの本の原題はDie unendliche Geschichteで、「終わりのない」物語と言う意味だが、また「エンデ(作者の名前でもある)」のない物語とも読める。ちょっとした言葉遊びだ。前作『モモ』の最後には「終わりEnde」と記されていたのが、この作のラストには「終わり」とは書かれていない。
     また古本屋のシーンで始まるのも興味深い。ファンタ―ジエンの危機は読書の危機でもある。物語を読みふける少年がいなくなれば、せっかく冒険が満載された本も開かれることもなく古い本として死蔵されてしまうこととなる。この物語は、そんな現代の読書離れの傾向に対する読書啓発の本でもあったのかもしれない。店主のコレアンダー氏が子ども嫌いで、本に触れるなよと言うのは、この種の子どもにはなによりの本のススメとなっていたのではないだろうか。

    所蔵状況:(全集本)本館3階東閲覧室(人文系) 948.78||En||

    yori

    • tokudaidokusho2さん
      書名は知っていたが、まだ読んだことがないので興味をひかれる。読んでいる本に自分?が出てくるというのは、どんな感覚だろうか?少し怖い気もするが...
      書名は知っていたが、まだ読んだことがないので興味をひかれる。読んでいる本に自分?が出てくるというのは、どんな感覚だろうか?少し怖い気もするが、主人公と同じできっと続きが気になり、読みふけってしまうだろう。
      kame
      2018/12/03
    • tokudaidokusho2さん
      モモを読んで、一応はエンデの凄みは知っているつもりだけれど、この本は一体どんなメッセージを伝えてくるのか。あの深い味わいのある世界をまた見...
      モモを読んで、一応はエンデの凄みは知っているつもりだけれど、この本は一体どんなメッセージを伝えてくるのか。あの深い味わいのある世界をまた見ることができると思うと、とても嬉しい。
      WS
      2018/12/04
  • これも、早く読みたかったけど積読になってしまってた。RPG好きだし、そもそもファンタジーに対する興味は大きいはずなんだけど、何故か何となく後回しにしがちだったりする。純粋にエンタメとしての読書というより、微妙に文学性とか教養とかにひよったりするセコイ根性が問題なんですね、結局。そらそうと、これはやっぱりだいぶ素敵な物語。メタフィクションで、いよいよ現世と本の中が通じ合いそうなところで上巻が終わるけど、ここからの展開にも期待でワクワク。

  • 好きすぎて子供の頃5回くらい読んだ

  • アトレーユ、バスチヤン、フッフール(ファルコン)──。自分はもう平凡なサラリーマンに落ち着いてしまったが、当時憧れた夢や記憶が蘇る。
    今読み返すとありふれたファンタジーだとも感じる。時代が変わったのだ。きっと今の子供達に読んでもらっても自分たちほど入り込みはしないだろう。
    本当にあるかもしれない自分が主人公の本の中の世界。魔法や怪物やお姫様。幼いころも大人になった今も心の栄養になる一冊。

  • ファンタージエン国の危機を救うために冒険する少年アトレーユと幸いの竜フッフール、そしてファンタージエンの危機を救うため人間の子を求める幼ごころの君など、個性豊かなキャラクターがたくさん登場し、ファンタジーな世界の妄想が膨らむお話です。面白いのが主人公の少年バスチアンは現実世界でこの「はてしない物語」の本を通してファンタージエンを観ているということ。物語の途中でバスチアンのいる現実世界と本の中の世界がリンクしているのではないか?という描写がところどころにあります。一番面白かったのは、ファンタージエンになかなか来ないバスチアンにしびれを切らした幼ごころの君が出た行動です。本の中でバスチアンがはてしない物語の本を読み始める文章が始まり、またアトレーユとフッフールの冒険が始まり、そしてまたバスチアンがはてしない物語の本を読み始め…といったループになったのです。これこそはてしない物語。つまり「永遠に続く物語から抜け出したければ、現実世界から本の中の世界に来い!」という幼ごころの君の強硬手段は、なかなか迫力がありました。上巻のお話はここまでで、下巻は本の中に入り込んだバスチアンの冒険の物語です。
    正直、上巻を読んだところまでは★5だったのですが、下巻を読み終えて★2になりました…。アウリンという望みが叶うアイテムのせいではあるのですが、バスチアンは自己中で横暴でわがままな支配者に徐々に変化していくのです。冒険中、バスチアンは親友になったアトレーユとフッフールのアドバイスにも腹をたてるばかりで、挙げ句の果てにはアトレーユを追放し、剣で刺してしまいます!のちに自分の過ちに気づいたバスチアンは、アトレーユと再開するのですが(死んでなかった)、「あの時はごめんね」みたいに謝るシーンは一切なし!お互いに多くを語らなくても気持ちは通じ合っている的なやつなのかもしれませんが、せめて一言謝れよと私は思ってしまいました。。。アトレーユは、バスチアンが現実世界に帰る手助けをし、さらにバスチアンがやらかした不手際の後始末までやっておくよとのこと。アトレーユ本当に良い子です。最後はバスチアンは無事に現実世界に帰れてめでたしめでたし、といったお話です。
    あとがきを読みますと、はてしない物語には古今東西の文学や思想を踏まえたところが、ところどころに隠されているらしいです。私は世界の文学や思想に詳しくないので単純にストーリーを読んで楽しみましたが、大人だからこそ楽しめるファンタジーなのかなと思いました。また現実世界をファンタジーに例えて表現しているのかな?と感じる描写も多く、考えさせられるシーンもあります。
    下巻が鬱展開でバスチアンにイライラしてしまったので★2ではありますが、読んでる最中は続きが気になりすぎて一気に読んでしまいました。



  • もうほんとに面白い!読むべき!

  • 小学生の頃、手に取るたびにすぐ挫折して、結局ずっと読んだことがなかった本でしたが、読んでみたら面白くてびっくり。
    さすが、児童書の定番。王道ファンタジー。
    バスチアンの気持ちにもなれるし、アトレーユと一緒に冒険もできてどんどん物語に引き込まれていきました。
    でも、何度も挫折しただけあって、大人になって読んでもよく理解できないところもチラホラあります。
    このページ数と文章量でまだ上巻だし。これを子ども時代に読破できる子はほんとすごいなぁと思っちゃいました。
    それ以上に魅力的な世界観と登場人物、先が気になって読む手が止まらなくなるストーリーで気にならなくなりますが。
    下巻が楽しみです。

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