真景累ケ淵 (岩波文庫 緑 3-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (484ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003100325

感想・レビュー・書評

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  • 全97章という異様な長さの怪談噺。桂歌丸が全編を演じきった時が260分というからとても落語の長さじゃない壮大さ。この長い長い噺の中で語られるのは複雑に入り組んだ因果の糸。旗本が金貸しを斬り殺したところから始まる因果は、数十年の歳月をかけ何十人という人々を巻き込んで巡っていく。一般に言われているように子孫たちが不幸に陥っていく前半部が圧倒的に面白く、後半の仇討ちは少し冗長ではある。とはいえ読みきって全体像を掴んでこそわかる面白さがこの大作には確かにある。いつか生でみてみたいものです。

  • 幕末明治の頃の伝説的な落語家・・・
    三遊亭円朝の噺・・・
    元は落語の、と言ってボクは落語はちゃんと聞いたことないので円朝さんなんてまったく知らんかったけども・・・
    これ読んで思ったわけです・・・
    落語ちゃんと聞いてみてー・・・

    まぁ、それはそうとコレ・・・
    怪談噺・・・
    こういったの初めてだよー・・・
    結構な古典だしどうだろうなー?と思って読んでみたらさ・・・
    これがもうヤミツキ・・・
    一気に読んでしまったよー・・・

    タイトルは『しんけいかさねがふち』って読むわけだけど・・・
    最初は読み方も分からなかったわけだけど・・・
    文章も昔の言葉でして・・・
    皆さん江戸やら茨城の田舎の方言(?)で喋るから・・・
    こりゃあ読めるかなと不安だったわけだけど・・・
    さすが落語・・・
    たいてい会話だから思いのほかでスラスラ読めちゃう・・・
    直ぐ慣れるし、テンポも良くって、却って雰囲気があってイイもんだね・・・

    怪談なんで幽霊が出たりするんですが・・・
    怨念ですね・・・
    これが纏わり憑いて・・・
    様々な人の人生が狂っちゃう・・・
    いろんな人のいろんな因縁が絡まってスッゲーどろどろ・・・
    こんなになります?ってくらいどろどろ・・・
    でも幽霊とか怨念とかが怖いんじゃなくて・・・
    そういうんじゃなくて・・・
    やっぱり怖いのは人間さまそのもの・・・
    業?性?ってヤツですかね・・・
    今の世も変わらない・・・
    お決まりの酒、銭(金)、色(恋)・・・
    いやー、これらでもって狂っちゃう・・・
    そして、幽霊やら怨念やらが現れる・・・
    狂うと言うと大げさか・・・
    変わっちゃう・・・
    そうつまり、誰にでもあり得ること・・・
    ってーことは、読んだボクも登場人物になりうるわけだ・・・
    げー、こえー・・・
    いろんな因縁が絡まりあって最後に一気に解れて行くサマは今でも通じる面白さだと思う・・・
    えー、マジか!?という因縁よ・・・
    おー、思い出しただけでもコワ・・・
    コワ面白い・・・

    古臭いストーリーだけども・・・
    古臭すぎるから逆に新鮮・・・
    なもんでハマっちゃったら一気に読めちゃうはず・・・

    前半だけ超ザックリ言うと・・・
    お侍で酒癖がチョー悪い深見新左衛門が、まさに酒に酔って・・・
    町の鍼医で金貸しもやってる皆川宗悦を殺しちゃい・・・
    その怨念が発動・・・
    新左衛門の長男の新五郎と次男の新吉・・・
    宗悦の長女の志賀と次女の園・・・
    ひょんなことからその子らが出会って、恋をして・・・
    ジョジョかと見紛うばかりの世代を超えた因縁ストーリーが始まる・・・
    幽霊はあくまでイイ具合に利くスパイス・・・
    絶妙ですが・・・
    ハイパーな因縁ストーリーこそが真髄・・・
    なんて因果な話でしょうか・・・
    おー、コワ・・・
    おー、オススメ・・・

    累ヶ淵行ってみてぇ・・・

  • 親方が昔、竹田人形座の人形芝居を観て、すごく面白かったっていうお話。
    読みやすくて語り口が心地よかった!
    仇討場面では泣けっちまったよ。

  • 「後巷説百物語」の最終章に圓朝が出ていたので読んだ。高座の単なる速記であるが、まさに巻措く能わずの面白さ。前半は有名な怪談話、後半は敵討ちという構成。全巻を通じて、おどろおどろしい因縁が描かれる。前半はオカルト的な怖さ、後半は運命の怖さだろう。江戸時代の言葉に関する資料としても貴重と思う。高座を聞いてみたかった。

  • 落語で、円朝で、どっろどろで、眠たくても寝れない!

  • 言わずと知れた落語の大家、円朝による怪談話。
     縁が何重にもかさなり縺れ、悲劇は連鎖していく。

     昔、やっぱり文庫で円朝落語全集って出てたんだよね。古典落語のほとんどを、私はそれでお勉強しました。で、それは会話の部分に「」(かぎかっこ)はつけてるけど、誰が話したかっていうのはなかった。この本は、いちいちあります。
     これがねぇ、なんか白けるんだよね。
     うーーん、不思議だ。
     多分、わかりやすさの為にそうしたんだと思う。確かに、さっと誰が話してるのかはわかる。でもね、落語って基本的に二人しか同時には出ないんだよね。つか、多くても3人で、3人目は話の進行役ぽくなってるんだよ。
     ああ、落語でやってる場面が頭に浮かぶからその人の名がうっとおしんだ。名前がはいってるせいで、会話のリズムがカクンと止まってしまうんだ。
     って、これで止まるリズムって、文になってるのに円朝の芸のすごさがわかるってもんだな。

     にしても、昔の人はこの因縁話を聞いてどう思ってたんだろうな。
     今よりずっと短命で、死が常にそばにあると自覚していた時代、避けられぬ運命や、振り払っても付きまとう因縁に絡みとられ、もがき、地獄の業火に焼かれるような無残を迎える登場人物たちを聞いて、哀れと思っていたのだろうか。これに比べたら自分たちはましだと、自分を慰めていたのだろうか。
     それとも、単に怖いもの見たさ??

  • 「真景」ってなんだろう?と思っていましたが、真景=神経=怪異現象の科学的解釈で、すなわち当世(明治の終わりごろ)風の怪談のことだそうな、。解説を読んでようやく納得がいきました。非常にしゃれたタイトルですね。

    とにかく、登場人物が多くて、話が拡散していて、中盤読むのが辛い部分も。
    ただ、終盤で、それら全部の因縁が修練していくあたりは、非常に気持ちがいいです。

  • みんなコミュニケーション能力たっけぇ。ダメダメなんだけど、欲しいモノをくれとかこっちくんなとか言うためらいのなさがすっげえ。
    現代人ノ忘レタ大切ナモノガアルヨウナ気ガシマス(図々しさとか遠慮のなさとかそういう)
    作中時間の長い話なので、途中人物がちょっとこんがらがった。
    これは語りをききたい。

    本当は1956年版を読んだんだけど画像があるからこっちで。

  • 緑3-2

  • それにしても、よくぞこんなふざけた噺を作ったもんです。口演用なので各段、各段都合よく切れ場を作ったり、面白いのなんの。確かに現代において聖天山以降は演じにくいかもしれないが、物好きの読物としてなら大丈夫。

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著者プロフィール

1839~1900。幕末から明治の落語家。人情噺を大道具・鳴り物入りで演じて人気を博す。近代落語の祖といわれる。代表作に「真景累ヶ淵」「怪談牡丹灯籠」「塩原多助一代記」など。

「2018年 『怪談牡丹燈籠・怪談乳房榎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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