- Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003255018
感想・レビュー・書評
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大いに怒りを感じた。
この話には人を瞬間的な利用価値だけで判断すること、俗物性、偽善、残酷さ、エゴイズムが救いようのないほど目一杯詰まっている。
社会はこんなもので溢れているようにも、社会の縮図のようにも感じる。
社会的地位で人の価値は測れない。感謝の気持ちを持てない者は、社会的地位以前に人間性に劣る。
モデルが実在するというのは驚いた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
100ページにも満たない小説でエゴイズムのここまで形をはっきり表しているのはさすがモーパッサン。
当時のドイツとの関係も大変興味深いものがあった。 -
戦争において、国・人々が疲弊していた中での物語。町を逃げ出すために富裕層達と一人の娼婦が一つの乗合馬車に乗り、経由地での出来事が大きな主題となっています。男尊女卑の色濃く残る社会をシニカルに描いている本作。娼婦への態度や感情を両極端に変える富裕層は現代社会においてマイノリティを差別・排除しようとする人々と同じように感じました。
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コルニュデの人生の二つの大いなる情熱、つまりビールと革命について、彼の心中には、類似と親和力のごときものが形成されているようだった。他方を考えることなしには一方を味わうことができなくなっていることは、確かなことだった。
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うわぁ…なんという悲劇。短いのですぐ読めると思って買った初めてのモーパッサン。脂肪のかたまりに助けられたのにいざ彼女が困ってる時に、手は差しのべられず…。最後のシーンの絶望感ったらない。人間の醜さが浮き彫りになった名作短編。2012/023
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”脂肪の塊”と呼ばれる娼婦にまつわる短編です。極限状態における人間の偽善とみにくさがより一層きわだつように描かれています。短いので読みやすいです。
九州大学
ニックネーム:浅野総一郎 -
すっきりしない。人間ってこんな生き物なのか。
そう思うと萎える。でもだからこそ僕はこんなエゴの塊に
ならないようにって思える。 -
books A to Z で紹介されたから
デヴィ夫人が読んだそうで。
逗子図書館にあり -
これは、あんまりな語。そもそも、女性に『脂肪のかたまり』なんてあだ名は、酷いではありませんか!職業、身分が同じだったら、この一連の扱いをされることは無かったのに。乗客が恩だけ受けておいて、この様な接し方してしまうのは、戦争の所為か理性のないエゴからか。社会的地位財産があっても、尊敬される事のない人生になるだろう。
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モーパッサンがこの話を朗読した後、作家仲間が拍手をしたという名作。
短編だが、無駄がなく的確、深い。
普仏戦争下、フランスのルーアンからル・アーヴルへ馬車で逃げる一行。貴族たちの中にひとり、娼婦のブール・ド・シュイフ(脂肪のかたまり)が乗っていた。雪降る悪天候のなか空腹の一行であったが、ブール・ド・シュイフの弁当で救われる。トートの宿につくと、プロシア兵はある「条件」をのまなければ一行の出発を許可しない、と言い出した──。
「国のために戦う」「人を殺すことが美徳」という考えや、人間のエゴイズムに対抗した作品。
ラ・マルセイエーズが印象的。