永遠平和のために (岩波文庫 青 625-9)

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  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003362594

作品紹介・あらすじ

世界の恒久的平和はいかにしてもたらされるべきか。カント(1724‐1804)は、常備軍の全廃、諸国家の民主化、国際連合の創設などの具体的提起を行ない、さらに人類の最高善=永遠平和の実現が決して空論にとどまらぬ根拠を明らかにして、人間ひとりひとりに平和への努力を厳粛に義務づける。あらためて熟読されるべき平和論の古典。

感想・レビュー・書評

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  • ■書名

    書名:永遠平和のために
    著者:カント

    ■感想

    TOPPOINTで読了。

  • 読み切ったけど、全然安心がなかった。
    平和が来るまでは、悪い人たちが消えるまで待たなきゃいけないみたいなことが書いてあって、ずーーーんとなった。
    p101「世界は、悪い人間の数が減っても、そのことで決して滅びたりはしないであろう。道徳的な悪は、その本性と不可分な特性をもつが、その特性とは、悪はみずからの意図において(とりわけ同じ心をもつ他人との関係において)、自分自身と矛盾し、自己破壊を生じ、かくして善の(道徳的)原理に、たとえそれが遅々とした歩みでも、ついには場所を明ける、という特性なのである。」
    唯一救いだったのは平和は絵空事なんかじゃないと言われている点かな。

    読書メモ>>>>
    1-1
    p13「平和とは一切の敵意が終わることで、永遠のという形容詞を平和につけるのは、かえって疑念を起こさせる語の重複とも言える。」

    1-6
    p24 純粋理性の許容法則について
    法則の種類 命令、禁止、許容?

    法則 客観的実践的に必然であることを根拠に含む

    許容 ある行為が実践的に偶然であることを含む
    許容法則 だれもそれへと強制できない行為を強制することを含む
    →「法則の対象がこの二重の関係において同じ意味内容をもつとすれば、矛盾することになろう」

    『永遠平和について』における許容法則  命令、禁止は将来の権利に対しての法則
    許容は現状に対しての法則、不法性が発見されたならば直ちに終止する必要

    自然法学者(特に民法)に対して注意を払ってほしい許容法則
    禁止法則のうちの例外として扱われる、という区別しかされていない。許容法則は「場合場合に手探りすることによって、たんに偶然的に法則に付け加えられるにすぎない」。
    「許容は、禁止法則のうちに、それを制限する条件…として一緒に組みこまれる」のが本来の姿。

    ヴィンディッシュグレーツ伯の出した問題「いかなるニ義的解釈も許さない契約方式は、いかにして構想されることができるか」が解決されないまま終わったのは残念。
    一貫した立法、普遍的な法則を手にするためには解決しなければいけない問題だから。

    2-1 各国家における市民的体制は、共和的でなければならない。

    共和制の民衆制の違い
    国家の形態の種類
    権力の所有者
    1人(君主)、数人(貴族)、全員(民衆)
    統治方式
    共和制(執行権を立法権から分離)、専制(自ら立法したものを執行)

    民衆制 基本的に専制(立法者と執行者が同じであることができる)、多数が少数を無視して(時には反してまで)決議できる、p36「全員が主人であろうとする」
    p36「一般意志が自己自身と矛盾することであり、自由と矛盾することである。」→?自分が少数である時に、一般意志と自分が矛盾することを言ってる?
    「理性推理において、大前提の普遍が、同時に小前提において特殊をその普遍のうちに包摂することではないのに、この二つを同じと見るように不合理である」

    「代表制でないすべての統治形態は、元来奇形」
    p37「この唯一完全な法的体制の達成は、すでに貴族制の方が君主制の場合より困難であるが、民衆制となると、暴力革命による以外は不可能である。」
    →???法の最高の従僕である君主制が一番望ましい形ってことかしら?
    「統治方式には、それが法の概念にかなっている場合は、代表制度が属していて、共和的統治方式はこうした代表制度においてのみ可能であり、この制度を欠くと、それは…専制的で暴力的なものとなるのである。」

    ⭐︎自分なりまとめ
    統治方式は共和制が望ましく、執行権と立法権を分離するために、それは必然的に代表制の形を取る。
    立法は「私が同意することができた外的法則のみに」したがう、「相互に同じ仕方で束縛されることのできる法に、自分も同時にしたがわなければ、だれであれ他人をそうした法の下に束縛することができない」平等の関係の中で行われる。
    でも、立法は結局どこで、誰が行う???

    第一補説 永遠平和の保証について
    保証は自然が行なう。
    1.p71「自然は、法が最後に主権を持つことを、あらがう余地なく意志している」
    その根拠
    p69「ところが自然は、尊敬すべきではあるが実践にむかっては無力な、普遍的で理性に基づく意志に対し、しかもまさ
    にかの利己的な傾向を用いて、助力を与えるのである。」
    p71「そこでこうした傾向を用いる自然の機構が、理性によって手段として利用されることができるのであって、この手段を通じて、理性自身の目的である法的な指図にも活動の余地が与えられ、それとともにまた、国家自身の力が及ぶ範囲
    で対内的および対外的な平和が促進され、保障されるのである。 」
    自然状態の人間の利己的な傾向は拮抗する相手の傾向を阻止し合う。
    それを理性が利用すれば、法的指図をする余地がその間に生まれる。
    そのために平和が保障される。

    ↓ただ好きな言葉
    p71「(実際、道徳性からよい国家体制が期待されるのではなく、むしろ逆に、よい国家体制から初めて国民のよい道徳的形成が期待されるのである。)」

    2
    世界が一つの国にして平和になることを人は望むが、それは絵空事
    それが実現すると、統治範囲が広がることで法の力が弱まり、無政府状態になる
    自然は民族の混合を防ぐために、言語と宗教のちがいを用いる。
    国家が分離していることは戦争の口実にもなるが、文化の向上=理性の向上=諸原理の広範囲での一致=平和への同意に近づくことにもつながる。

    3
    商業精神が最終的にあらゆる民族を支配する。
    国家権力の下で最も信頼できる力は金力である。
    これを守るために国家は平和を促進するように迫られ、調停により戦争を防止するように強いられる。
    →結局、財産を守るために人間は戦争を避けるようになるのが現実的な落とし所ってこと?

    付録1 永遠平和という見地からみたどうとくと政治の不一致について
    p86「(1) 以上は理性の許容法則である。すなわち、たとえ公法がなお不法をともなう状態にあっても、すべてが完全な変革にいたるほどおのずから成熟してはいないか、あるいは平和な手段によって成熟に近づくようにしむけられない間は、そうした状態を持続させる、といった法則である。なぜなら、たとえわずかの合法性しかもたないにしても、とにかく法的である体制は、法的体制がまったくないよりはましであって、急ぎすぎた改革は後者の(無政府状態の)運命に見舞われるかもしれないからである。 ーーそれゆえ、国政の知恵は、現在あるがままの事態について、公法の理想に適合した諸改革を義務とするであろう。だが革命が自然によっておのずから生ずるときは、国政の知恵はそれをいっそうきびしく弾圧するための口実とはしないで、自由の諸原理に基づく法的体制が持続する唯一の体制であり、そうした体制を根本的な改革によって実現せよ、という自然の呼びかけとして利用するであろう。」
    p100
    権力を争う悪い者たちはお互いで潰し合うから、道徳を重んじる者たちの場所はその内、確保される。

    付録2公法の先験的概念による政治と道徳の一致について
    政治のある格率が道徳的に正しいかはそれを公にすることができるかで判断できる。
    ただし、決定的な主権を持つ者(国家)は自分の格率を隠し立てする必要がないので、例外。
    国際法と政治の確率が一致する条件は法的状態が存在することである。
    p114「たんに戦争の除去を意図するだけの国家の連合状態が、国家の自由と合致できる唯一の法的状態である」
    →国際法の下に国家が服する状態なら、政治と個人の関係と同等になるから、公にすることができるかで格率の道徳性を判断できるってことかな?
    p117「「(その目的をのがさないために)公表性を必要とするすべての格率は、法と政治の双方に合致する。」

    解説
    平和条約が休戦協定に過ぎないこと。
    平和構造が「理性の空想」と考えられていたこと。
    本書はこの2つに対するカントの反論。
    反論に必要なことは以下2つ。
    平和を空想論と呼ぶ根拠を明らかにし、それが間違っていることを証明すること。
    平和が実現可能である根拠を示し、それが正しいことを証明すること。
    第一章の予備条項は人類が殲滅戦に突入するのを防止する条項。
    第二章の確定条項は平和を実現するための具体的な条項。
    p137「国際法は「平和の法」に徹すべきなのである。」
    第一補説は平和が実現可能であることの証明。(自然が平和を保証する)
    第二補説は国家が哲学者に戦争や平和の問題を自由に議論させ、参考にすべきとの提言。
    付録は政治は道徳と合致すべきで、政治の方が道徳に合わせるべきというカントの政治哲学。
    というラインナップ。
    読み切ったけど、全然安心がなかった。
    平和が来るまでは、悪い人たちが殺し合って消えるまで待たなきゃいけないみたいで、ずーーーんとなった。
    唯一救いだったのは「平和は絵空事なんかじゃない」と言われている点かな。

    読書メモ>>>>
    1-1
    p13「平和とは一切の敵意が終わることで、永遠のという形容詞を平和につけるのは、かえって疑念を起こさせる語の重複とも言える。」

    1-6
    p24 純粋理性の許容法則について
    法則の種類 命令、禁止、許容?

    法則 客観的実践的に必然であることを根拠に含む

    許容 ある行為が実践的に偶然であることを含む
    許容法則 だれもそれへと強制できない行為を強制することを含む
    →「法則の対象がこの二重の関係において同じ意味内容をもつとすれば、矛盾することになろう」

    『永遠平和について』における許容法則  命令、禁止は将来の権利に対しての法則
    許容は現状に対しての法則、不法性が発見されたならば直ちに終止する必要

    自然法学者(特に民法)に対して注意を払ってほしい許容法則
    禁止法則のうちの例外として扱われる、という区別しかされていない。許容法則は「場合場合に手探りすることによって、たんに偶然的に法則に付け加えられるにすぎない」。
    「許容は、禁止法則のうちに、それを制限する条件…として一緒に組みこまれる」のが本来の姿。

    ヴィンディッシュグレーツ伯の出した問題「いかなるニ義的解釈も許さない契約方式は、いかにして構想されることができるか」が解決されないまま終わったのは残念。
    一貫した立法、普遍的な法則を手にするためには解決しなければいけない問題だから。

    2-1 各国家における市民的体制は、共和的でなければならない。

    共和制の民衆制の違い
    国家の形態の種類
    権力の所有者
    1人(君主)、数人(貴族)、全員(民衆)
    統治方式
    共和制(執行権を立法権から分離)、専制(自ら立法したものを執行)

    民衆制 基本的に専制(立法者と執行者が同じであることができる)、多数が少数を無視して(時には反してまで)決議できる、p36「全員が主人であろうとする」
    p36「一般意志が自己自身と矛盾することであり、自由と矛盾することである。」→?自分が少数である時に、一般意志と自分が矛盾することを言ってる?
    「理性推理において、大前提の普遍が、同時に小前提において特殊をその普遍のうちに包摂することではないのに、この二つを同じと見るように不合理である」

    「代表制でないすべての統治形態は、元来奇形」
    p37「この唯一完全な法的体制の達成は、すでに貴族制の方が君主制の場合より困難であるが、民衆制となると、暴力革命による以外は不可能である。」
    →???法の最高の従僕である君主制が一番望ましい形ってことかしら?
    「統治方式には、それが法の概念にかなっている場合は、代表制度が属していて、共和的統治方式はこうした代表制度においてのみ可能であり、この制度を欠くと、それは…専制的で暴力的なものとなるのである。」

    ⭐︎自分なりまとめ
    統治方式は共和制が望ましく、執行権と立法権を分離するために、それは必然的に代表制の形を取る。
    立法は「私が同意することができた外的法則のみに」したがう、「相互に同じ仕方で束縛されることのできる法に、自分も同時にしたがわなければ、だれであれ他人をそうした法の下に束縛することができない」平等の関係の中で行われる。
    でも、立法は結局どこで、誰が行う???

    第一補説 永遠平和の保証について
    保証は自然が行なう。
    1.p71「自然は、法が最後に主権を持つことを、あらがう余地なく意志している」
    その根拠
    p69「ところが自然は、尊敬すべきではあるが実践にむかっては無力な、普遍的で理性に基づく意志に対し、しかもまさ
    にかの利己的な傾向を用いて、助力を与えるのである。」
    p71「そこでこうした傾向を用いる自然の機構が、理性によって手段として利用されることができるのであって、この手段を通じて、理性自身の目的である法的な指図にも活動の余地が与えられ、それとともにまた、国家自身の力が及ぶ範囲
    で対内的および対外的な平和が促進され、保障されるのである。 」
    自然状態の人間の利己的な傾向は拮抗する相手の傾向を阻止し合う。
    それを理性が利用すれば、法的指図をする余地がその間に生まれる。
    そのために平和が保障される。

    ↓ただ好きな言葉
    p71「(実際、道徳性からよい国家体制が期待されるのではなく、むしろ逆に、よい国家体制から初めて国民のよい道徳的形成が期待されるのである。)」

    2
    世界が一つの国にして平和になることを人は望むが、それは絵空事
    それが実現すると、統治範囲が広がることで法の力が弱まり、無政府状態になる
    自然は民族の混合を防ぐために、言語と宗教のちがいを用いる。
    国家が分離していることは戦争の口実にもなるが、文化の向上=理性の向上=諸原理の広範囲での一致=平和への同意に近づくことにもつながる。

    3
    商業精神が最終的にあらゆる民族を支配する。
    国家権力の下で最も信頼できる力は金力である。
    これを守るために国家は平和を促進するように迫られ、調停により戦争を防止するように強いられる。
    →結局、財産を守るために人間は戦争を避けるようになるのが現実的な落とし所ってこと?

    付録1 永遠平和という見地からみたどうとくと政治の不一致について
    p86「(1) 以上は理性の許容法則である。すなわち、たとえ公法がなお不法をともなう状態にあっても、すべてが完全な変革にいたるほどおのずから成熟してはいないか、あるいは平和な手段によって成熟に近づくようにしむけられない間は、そうした状態を持続させる、といった法則である。なぜなら、たとえわずかの合法性しかもたないにしても、とにかく法的である体制は、法的体制がまったくないよりはましであって、急ぎすぎた改革は後者の(無政府状態の)運命に見舞われるかもしれないからである。 ーーそれゆえ、国政の知恵は、現在あるがままの事態について、公法の理想に適合した諸改革を義務とするであろう。だが革命が自然によっておのずから生ずるときは、国政の知恵はそれをいっそうきびしく弾圧するための口実とはしないで、自由の諸原理に基づく法的体制が持続する唯一の体制であり、そうした体制を根本的な改革によって実現せよ、という自然の呼びかけとして利用するであろう。」
    p100
    権力を争う悪い者たちはお互いで潰し合うから、道徳を重んじる者たちの場所はその内、確保される。

    付録2公法の先験的概念による政治と道徳の一致について
    政治のある格率が道徳的に正しいかはそれを公にすることができるかで判断できる。
    ただし、決定的な主権を持つ者(国家)は自分の格率を隠し立てする必要がないので、例外。
    国際法と政治の確率が一致する条件は法的状態が存在することである。
    p114「たんに戦争の除去を意図するだけの国家の連合状態が、国家の自由と合致できる唯一の法的状態である」
    →国際法の下に国家が服する状態なら、政治と個人の関係と同等になるから、公にすることができるかで格率の道徳性を判断できるってことかな?
    p117「「(その目的をのがさないために)公表性を必要とするすべての格率は、法と政治の双方に合致する。」

    解説
    平和条約が休戦協定に過ぎないこと。
    平和構造が「理性の空想」と考えられていたこと。
    本書はこの2つに対するカントの反論。
    反論に必要なことは以下2つ。
    平和を空想論と呼ぶ根拠を明らかにし、それが間違っていることを証明すること。
    平和が実現可能である根拠を示し、それが正しいことを証明すること。
    第一章の予備条項は人類が殲滅戦に突入するのを防止する条項。
    第二章の確定条項は平和を実現するための具体的な条項。
    p137「国際法は「平和の法」に徹すべきなのである。」
    第一補説は平和が実現可能であることの証明。(自然が平和を保証する)
    第二補説は国家が哲学者に戦争や平和の問題を自由に議論させ、参考にすべきとの提言。
    付録は政治は道徳と合致すべきで、政治の方が道徳に合わせるべきというカントの政治哲学。
    というラインナップ。

  • カントの晩年の代表作である「永遠平和のために」、やっと読むことができました。本書は訳注や解説を含めても150ページ程度なのであっさり読めるかと期待していましたが甘かったです。一行一行噛み砕きながら読み進めたものの、カント特有の婉曲的な表現なども多数散りばめられていて苦戦しました。そして本論よりも付録を読み解くことにさらに苦戦し、これは全体の3割くらいしか理解できていないのでは?と怖れを抱いていましたが、最後の訳者による解説によって理解度が一気に8割くらいに上がった気がします。おかげさまで腹落ちしてきた感じがするのですが、少し時間を空けてまた最初から一読しようと思っています。単なる理想像としての永遠平和ではなく、リアリズムの視点からも永遠平和がなしうることを説いた本として、とても興味深く読みました。
    以下、備忘録としてカントの述べている永遠平和のための条項です。

    <国家間の永遠平和のための予備条項>
    第1条項:将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条約は、決して平和条約とみなされてはならない。
    第2条項:独立しているいかなる国家(小国であろうと、大国であろうと、この場合問題ではない)も、継承、交換、買収、または贈与によって、ほかの国家がこれを取得できることがあってはならない。
    第3条項:常備軍は、時とともに全廃されなければならない。
    第4条項:国家の対外紛争にかんしては、いかなる国債も発行されてはならない。
    第5条項:いかなる国家も、ほかの国家の体制や統治に、暴力を持って干渉してはならない。
    第6条項:いかなる国家も、他国との戦争において、将来の平和時における相互間の信頼を不可能にしてしまうような行為をしてはならない。

    <国家間の永遠平和のための確定条項>
    第1確定条項:各国家における市民的体制は、共和的でなければならない。
    第2確定条項:国際法は、自由な諸国家の連合制度に基礎を置くべきである。
    第3確定条項:世界市民法は、普遍的な友好をもたらす諸条件に制限されなければならない。

  • ・カントの永遠平和論。国家間の連合による世界平和構想。
    ・カントは、社交的だったという人物評があるが、カントの平和論もさもありなんという感を覚えた。
    ・自分は、人と仲良くするのが苦手なので、カントの議論のようにうまくいくのかと思った。

  • あまり意味が理解できなかったが、平和の当たり前、のことを提唱し、示したという意味で意義深いのだろう。ある事象でのパワーバランスに触れていたり、こうしたらこうなる、という当たり前を書いている。解説書とか見ながら中身が理解できるようになりたいな、、、

  • 長い間、文章を正しく理解する、ということをなおざりにしてきた。
    小説の文章は、その風景が、会話が、心情がすぐに自分の中で分かる文章だが、
    こういう国語の現代文のような文章は、論理的に述べられているので、読むだけでは分からない。
    読んで、もう一度読み返して、そこに述べられている論理が自分の中で分かるまで立ち止まって、ん?ん?とやらなければ、それを踏まえた次の文には進めない。
    読めば分かる文章ではない。
    その論理の把握作業を、逐一やりながら、頭の中にその著者の述べている世界を組み立てながら、組み立てたものを忘れずに、どんどん複雑になっても積み重なっても全体を作っていかなければ、この本を正確に読むことができない。
    まずカントの書き記したことを正確に受け取りたい。

  • カントの政治哲学(?)、国際法のありかた、政治と道徳(倫理)のあり方などが書かれている。

    難しいけど、完全にわからないわけではない。

    現在にも十分通じる部分が多くあるように感じた。

  • イマヌエルカント 永遠平和のために

    永遠平和のための9条項(予備条項6と確定条項3)を論じた本。一つの世界共和国を作るというより、それぞれの国家の独立を維持しながら、平和連合体制を作るイメージ

    ソンタグの「世界平和を信じる人間などいない」という諦めの論調より、カントの「世界平和のために9条項に着手せよ」というメッセージの方が 読む価値がある。 

    永遠平和は人間の利己的傾向から自然に導かれるとする第一補説を入れたあたりが、永遠平和が空想でなく実現可能であることを証明したいカントの哲学者としてのプライドを感じる

    9条項の中で最もハードルが高そうなのは「常備軍の全廃〜自衛軍は認めるが、段階的に常備軍はなくせ」という条項。カントは「平和とは、一切の敵意が終わることであり、軍事力による均衡は 平和につながらない」と考えていることがわかる


    6つの予備条項
    1.平和条約は将来戦争の種を残さない
    2.国家は 他の国家に取得されない
    3.常備軍の全廃
    4.戦時国債は発行しない
    5.暴力により他の国家に干渉しない
    6.戦争の最中においても卑劣な行為はしない

    3つの確定条項
    1.共和的な市民体制
    2.諸国家の連合制度に基礎を置いた国際法
    3.友好をもたらす世界市民法〜外国人が入っても敵意を持たれない

    共和的体制
    *自由と平等の権利が確保された国民が、共同の立法に従っている
    *代表制を採用し、国家の立法権と執行権が分離している
    *共和制の下では戦争をするには国民の賛同が必要〜戦争という割に合わない賭け事を国民は求めない






  • 目次でみる、章立てや「平和」を維持するための要件、端々にある一文など、響くことばは複数ありますし、そこを拾いながら読むだけでも、ロシアがウクライナへの侵攻を続ける今、考えさせられることが多いように感じます。

    第1章の第5条項「いなかる国家も、ほかの国家の体制や統治に、暴力をもって干渉してはならない」などは、まさに今日の事件が「誤った選択」によるものであることを明快に示しているように思います。

    とはいえ、一つひとつの文章が難解で、大変に読みづらいという印象を受けました。自分の読解力がないから、といえばそれまでなのですが、「で、結局何が言いたいの?」となるところが多く、最終的には「解説」のぶぶんをざっと読み、なんとなくわかったようなわからないような、というところです。
    立憲君主制の国家が多かった十八世紀末に書かれた論文だということも理由なのでしょうが、「共和制」という体制がいかに理想的か、という部分についても多くのページが割かれており、単純に「どのようにして「平和」を実現し、継続させるか」という具体的な姿が(特に現代の世界において)イメージしづらい、というのも個人的には読みづらさを感じた理由だと思います。

  • 有名なので読んでみたがよく分からない

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