- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003412510
感想・レビュー・書評
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疎外。本来、自分のものであるはずのものが自分から離れてよそよそしくなる。本来、労働は創造的な活動で、自己実現、人間能力の開花につながる。しかし、ものを生産する手段(労働者)を資本家が握る社会では、労働者は自分の人生や運命を決めることができない。
※疎外の指標(無力・無意味・孤立・自分が自分でないような感覚)。単純流れ作業の労働者は疎外感が高い。選択肢もなく、ただひたすら単純作業を機械のように続ける労働者。一方、職人は疎外感が低い。自分の技術を日々磨き、成長・やりがいを感じている。R・ブラウナー。
物の価値は労働量で決まる。資本家は労働者を酷使して、労働力をできるだけ多く搾り取る。人間は自分で素材を買い、働いて価値を付けて、売るのなら、搾取はどこにもない。靴職人が革を買って、それを加工して靴を作って売る。搾取はない。しかし、素材を買うお金がない人は労働力を売って生きるしかない。資本家は靴職人を雇って、靴を作らせ、その商品を売る。売上の一部を靴職人に賃金として渡す。資本家は安い賃金でたくさん靴を作らせた方が儲かる。労働者を限界までこき使うようになる。賃金以上に働いて生まれた価値(剰余価値)はすべて資本家のものになる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みたいと思いながら長年躊躇してきた資本論をついに読んだ。まだ1巻だけで、9巻もあると思うと心が折れそうだが、時間をかけても読破したいと思う。
正直もっと硬い本だと身構えていて、確かに古い訳でもあってかなり硬いのだが、資本主義について、マルクスおじさんが分析したことを熱く語っている、その語り口調はなんとなく面白くてばーっと読むことができた。マルクスおじの言っていることはいま読んでもかなり正しいと思える。これだけ資本主義の現実というもの、資本家優位でそれに労働者が鞭打たれている現状を淡々と語られると、これに影響されて社会主義活動を進めた人たちの気持ちがよく分かる。(マルクスおじさんは決して資本主義を倒して社会主義を推し進めろと言っている訳じゃなく、純粋な資本主義の分析をしていただけだそうだが)
そもそも人間社会の営みというものは、全て神話から成り立っている。虚構を信じるという能力はサピエンスのみが得られた能力であり、それがなければ150人までしか社会を形成できないそうだ。(サピエンス全史より)
古来から、ギリシャ神話を信じて協力したり、キリスト教、儒教、仏教、ブシドー、ロマン主義、律法、そして国の発行する貨幣を信じた資本主義経済を信じて人々は協力しあって社会を形成している。いずれも自然界に実存する制度ではなく、人間が作り出した虚構で神話である。そして、いずれにも格差が生じ、甘い蜜を吸う人間が現れる。それでも人々が協力し合うのは、その神話を信じているからであり、誰も信じなくなって仕舞えば人間は協力することができなくなる。しかしいまさら土人に帰ることは不可能なので、別の神話に取って代わられることになる。資本主義という神話の虚構、その洗脳を完全に解いてしまったのがマルクスだった。そのせいで協力できなくなった人間たちが別のイデオロギーを掲げたが、資本主義社会の強大さには勝てなかった。人間には何らかの神話が必要なんだなぁ。 -
資本主義社会の分析を目指し、その最も根本的な要素である「商品」や「価値」についての考察がされている。
私のような、マルクスの考え方に慣れていない人間にとっては、理解に時間がかかると思うが、根本的であるが故に、「よく考えたら当たり前じゃん!確かにそうだ!」となる内容が多い。マルクスの熱い表現(小説のような、あるいは、居酒屋でくだをまくオッチャンのような)は好き嫌いが分かれると思う。
本の内容については、この後の2分冊目以降を読めば理解が深まる(と思いたい)が、私がこの本から得た視点を感じたことがあった。
この本を読んだ直後、ある政治家の「同性愛者は生産性がない」という発言が物議を醸したのだが、これはマルクス的にいえば人を再生産前提の「労働力」として見たときの「交換価値」にのみ着目したときの考え方だなぁ、と感じた。現実には、人にはそれ以外の側面がたくさんあるはずなのだが、マルクスが資本に感じている冷血的な視点で見たからこそ出てしまった発言なのかな、と捉えることができた。 -
『経済学・哲学草稿』や『経済学批判』はまだ経済学史知識が生きる本だったけど、
『資本論』は解説本や数多の経済学史本を読み漁ってなお自分の脳が読書と理解を拒んでいるので、
たぶん誰も読み切ってないし、誰も理解してない
と思う
理解してるのはこれに人生を賭けたヤバい奴だけ
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國學院大學「大学生にこそ読んで欲しい」おすすめ本アンケートより。
※國學院大學図書館
https://opac.kokugakuin.ac.jp/webopac/BB01015524 -
机上の空論。ためにならない本。インテリが好む本。共産主義者が読む本。つまり、読まなくていい本。
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どっち道、経済学は間違っているのだから、釈迦力で読む必要はない。俗に、16頁までは読まれないと言われている。著者の生きた時代の資本主義社会がどうだったかという点と、マルクス主義の経典の一つとして読む価値はある。読んだら自慢しよう、「俺は資本論を読んだんだぜ!」と。但し、気力・体力の充実してる時に限る。大著なので大変疲れるから!
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かつてのマルクス翻訳者の第一人者である向坂逸郎は、113年前の1897年2月6日に福岡県大牟田市で生まれたマルクス経済学者・社会主義思想家。
本当にマルクスを読み解くなら、哲学や階級論だけで終始していては不備だということから、無理難題を承知の上でしたが、無謀にも牙城を攻め崩す覚悟で、この『資本論』岩波文庫全9冊とともに、『ゴーダ綱領批判』とか『経済学批判』も合わせて克明なノートを取りながら、父やボイスレコーダー相手に説き話すことで咀嚼しながら理解に努めたものでした。
たしかに難解といえば難解でしたが、言葉の意味とそれぞれの関連性を理解するだけで案外スッキリと解けるもので、すこしわかるとしめたもの、けっこう私もやるじゃないなどと言って、自分で自分を褒めるようになったら、これまた好都合で、より加速出を増して読めるように進みます。
ともかく、本来、経済学の専門家ではない私のような普通の人が普通に読んで理解できなくてはならない本なのですが、だいたいのおおざっぱな概説としてなら数多く出ている入門書を読めばいいのですが、私としては政治学よりも重要なものとしての認識から、生涯にわたってある程度以上の議論が出来たり、日本や世界の行く末を展望するためにはどうしても必要だということで、少し無理して、お勉強しちゃったのでした。
そして私は、少しでも大好きなシモーヌ・ヴェーユに近づくためには、彼女と同じかたちでマルクス・レーニンを読まなければならないと思い込み、暇にまかせて古書店を探し回って、かなり綺麗なままのマルクス全集53巻とレーニン全集47巻を見つけましたが、購入したのは後者だけで、前者の方はちょうど出ていたCD-ROM8枚組を選びました。両方で30数万とかなり廉価にしてもらったとはいえ高額、でも全部バイト代でまかないましたから誰にも無駄使いとは言わせません。
ただし、本来この軍資金は、成人式の時に着物をレンタルか購入する資金として貯めたものでしたから、それをカールとウラジーミルに使っちゃったなんてことは誰にも言えません。結局は成人式にも行かずじまいですが、まあ、そんなことはどうでもいいことです。 -
説明不要
聖書と並ぶ“永遠のベストセラー”
資本主義的生産メカニズムの正体と
その生成と発展と没落の必然性を
唯物史観の観点から説き明かした
革命家マルクスの集大成にして人類史上最大の大著
人生狂う恐れあり、要注意
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文体は難しいが、とくに難しいことが書かれているのではない。商品の分析からはじめて貨幣という商品を導き出し、交換過程へすすみ、資本の蓄積の秘密として、労働力という特殊な商品を導くところまでです。それにしても、明治維新の前年にこんな著作があったのはすごいことです。現代社会を見る眼も養うことができます。遊牧民が交換過程で果たした役割とか、日本の開国が日本経済に与える影響とか、トルコ帝国がなぜ長く存立したのかということも注釈に書いてあります。資本主義の条件として賃金労働が存在することを指摘している点は重要な点です。資本論はその名のとおり資本のしくみを分析している本で、社会主義の聖書ではないことは心得ておく必要があります。
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◆3/7オンライン企画「その相談、あの本なら、こう言うね。F/哲学の劇場」で紹介されています。
https://www.youtube.com/watch?v=1K0qT4_6lEk
本の詳細
https://www.iwanami.co.jp/book/b248569.html -
学生時代に読んだ記憶があるのはこの第1巻のみ。今回30年ぶりに再読を思い立ったが、この岩波文庫版が第9巻まであるということを知り愕然とする。みんなよく読むよなあ。以前ホッブスの「リバイアサン」に手をつけたときは第3巻の最初で挫折、しかも今回は優にその3倍以上はある。全巻読破は無理かなと思いつつ、幸か不幸かコロナ禍で通勤時間が節約できている今しか読む機会はなかろう、と考え読み始めた。
個人的に貴重な再発見であったのは以下のくだり。商品生産における価値体系「使用価値」「交換価値」とパラレルな形で、労働にも「具体的な有用労働」と「抽象的な人間労働」があり、交換価値は専ら労働時間で計量される抽象的人間労働」によりもたらされる。商品同士の交換では、一方の使用価値が他方の交換価値と相対するが、そこでは同時に私的で具体的な労働が社会的で抽象的な労働と対峙している。──有名な「労働の二重性」だが、ここで価値の交換が成り立つための条件を考察した先駆者としてアリストテレスが持ち出されているのが興味深い。交換されるべき価値の共約数である「人間の平等性(等一性)」の発見者として、マルクスはアリストテレスを高く評価しているのだ。当時はスコラ哲学を経てデカルトやベーコンの機械的人間論が幅を利かせ、アリストテレス的な形而上学は傍に追いやられていた時代だと理解していたのだが。
本来なら等価交換で剰余価値が生まれるはずのない商品経済で、何故か価値の蓄積を続ける資本。その価値の源泉が、本来貨幣と等価交換されるべきその使用価値が消費された途端に交換価値を生じるような特殊な商品、すなわち「労働力」であったという転倒。労働力に超越論的に内在する剰余価値=使用価値と交換価値の差異を搾取しながら、ベンサム的功利で自らを正当化する資本を糾弾したところで第1巻は終了。
この第1巻は比較的難解だとされているようだが、学生時代とは違い今改めて読むと意外にシンプルで読みやすく感じる。比較的有名な論点が多くいろんなところで言及されているせいもあるだろう。一方、事前に知りたいと思っていた物神化や類的本質といったマルクスを特徴づけるタームの出現頻度はここでは低く、本書を読んだだけではほとんど理解が進まなかった。 -
2019/05/29 読了
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こんなに何巻も読めそうにないです。
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資本論1/9 読了。商品、価値、労働、貨幣、資本の関係性が難しいが、「超訳資本論」「ぐでたまの資本論」「高校生からわかる資本論」など 平易な解説本と併読して、やっと読めた
4章「貨幣の資本への転化」面白い -
価値には交換価値と使用価値が存在する。
交換価値は労働時間で表される。
交換価値が同一のものが交換される。
交換価値を表す物差しになるのが貨幣。
貨幣は貴金属、特に金。
流通の中では剰余価値は生まれない。
労働者は自由を失わない範囲で自分を売る。
貨幣所有者は、労働者に前貸しで労働を買う。 -
よめへんわ、こんなの...。
諦めます。 -
同じことを何度もコネコネ言っている感じで話が進まない。この難解な文章は一般人には軽々と理解させんぞ!ということなのか。読むのに時間がかかる割に理解できることや得るものが少ないので、わかりやすく解説したほかの本を読んだ方が効率が良いと思った。解説本である程度理解を進めてから全巻読破したい。