現代社会の理論: 情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書 新赤版 465)

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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004304654

感想・レビュー・書評

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  • いまごろだけど読了。
    もはや古典となりつつある現代社会論。
    第四章が白眉。消費社会の情報化が、グローバルな諸問題(南北問題、環境問題…)をある程度解決するのではないかという話。バタイユに根拠を求めてそういえことを言う。こういう、SF的で、オプティミスティックな話は好き。この章、600ページぐらい使って論じて欲しいぜ…。かなり読むに値すると思う。
    ただ、4章では労働の構造的な問題にほとんど触れてない。これ、マルクス主義=計画経済と捉えている点と無関係ではないと思う。マルクス理論の導入に躊躇があったのでは?とか思ってしまう。(いや、でも見田のごとき社会学者がマルクスを見落とすわけがないし、ほかの著作では大いに触れていたと思うのだが、どういうことだろう)。労働の問題こそ根本的な問題(諸悪の根源)だと考える人からは不評だろうと思う。
    いずれにせよ、この後の展開に期待。(それらしい本が見当たらない……)

  • 刊記を見ると、初版は1996年。
    20年が経過しているので、もう時代遅れになった部分があるのでは、と思った。
    たしかに、アメリカの経済状況は、あれからリーマンショックなど、本書では予見できない不況に見舞われたのは事実だ。
    むしろ、今、やっと著者の描いた情報化/消費化社会のことが、リアルなこととして感じられる。

    限界に達した現代社会を、問題だけ指摘して終わるのではないところも、本書のよいところだと思う。
    ただ、バタイユを援用しながら述べる、「生の充溢と歓喜の直接的な享受」を可能にするような「消費社会」がやってくるのかは・・・残念ながら、現状ではそのようには思えない。

  • 「デザインの勝利は次のようなことを示す。すなわち車の外見には決定的なものがない。」決定的なものがない、というこの空虚な無根拠性が、「形式の自由な世界を開く」。潜在的に無限の容量をもつ市場を見出したということである。

  • アクチュアルなもの、リアルなもの、実質的なものがまっすぐに語り交わされる時代を準備する世代たちの内に、青青とした思考の芽を点火することだけを願って、わたしはひとつの発端を世界の内に放ちたい(p188)

    この著者の願いを、しっかり引き受けていきたい。

  • 読んでいて、手がとまらない、どんどん先を読みたいと思わせてくれる本だった。社会に対する見方、特に消費/情報に対する考え方がかわった。

  • 著書の本が色々載ってて全部読みたいと思った。

  • 見田宗介(1937-)。専攻は現代社会論、比較社会学、文化の社会学。

    目次(抜粋):
    はじめに
    一 情報化/消費化社会の展開 自立システムの形成
    二 環境の臨界/資源の臨界 現代社会の「限界問題」Ⅰ
    三 南の貧困/北の貧困 現代社会の「限界問題」Ⅱ
    四 情報化/消費化社会の転回 自立システムの透徹
    参考文献
    おわりに

    188㌻。1996年、岩波書店、定価700円(2003年第19刷、税別)。

  •  私の師の師が書いた情報化/消費化社会についての論。
    情報化/消費化社会のシステムが現代においてどのような役割を果たして来たのかを分析する。歴史、貧困、人口論、公害、現代社会(特に定本版にサブプライムローンについての言及がある)...といろんな視点から、また、多くのデータを用いて、情報/消費化社会を分析する。
     情報化/消費化社会のシステムが必要とされてきた理由として「効用に算定されることのない生命の充溢と歓喜を自由に解き放つ」ことがあげられる。しかし、このシステムには不幸と限界もある。環境の限界、資源の限界、貧困など。かといって、情報や消費を禁圧するシステムを我々は望まない。
     「自由な社会」という理念をシステムの原理として手放すことなく、このような不幸と限界をどうのりこえるか?
     具体的には以下のようなものがあげられる。
     情報化によって、マテリアルな消費に依存しない知と感受性と魂の深度のごとき空間のひろがりを見いだすこと。
     このように情報化/消費化社会のシステムが「<他の何ものの手段でもなく、それ自体として生の歓びであるもの>だけれでもそれはどのような大量の自然収奪も他社会からの収奪も必要としないこと」を原義として考え、システム自体を転回していくことが大切である。
     

  • 前にボードリヤールを読んでいたので、はぁはぁこれは消費社会と文明のお話ね、と理解した。
    前半はなんだかよくわからない自己満足的な文章が続くが、中盤の環境に関する話以降は比較的読みやすい。
    なんか読後感としては、ボードリヤールとバタイユを読みなさいってことかなと。

  • 社会学の教科書とは思えないほどに読みやすい。文学作品のような文章の読みやすさ。
    ただ、読みやすさのあまりゼミで利用するには私には使いにくかった。
    納得して読み進められるのに水のようにするする入ってくるので1度読んだだけであれば読み終わったあれで「あれ、論点って何だっけ」となってしまうことがある。
    しっかり悩んで読むとするすると読んで感じるよりも難しいことを言っている場面もある。

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著者プロフィール

1937年生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。著書に『まなざしの地獄』『現代社会の理論』『自我の起原』『社会学入門』など。『定本 見田宗 介著作集』で2012年毎日出版文化賞受賞。東大の見田ゼミは常に見田信奉者で満席だった。

「2017年 『〈わたし〉と〈みんな〉の社会学 THINKING「O」014号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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