現代社会の理論: 情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書 新赤版 465)
- 岩波書店 (1996年10月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004304654
感想・レビュー・書評
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バタイユ。
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現代社会は消費社会と情報社会である。資本主義の限界を克服するため、消費する意欲それ自体を自己で生み出す(欲望の創出)。現在ではそれは最も良い社会だと考えられるが、その一方で陰の部分もある。無限の消費の可能性に対して、有限である地球の資源。国内が豊かになるための、後進国の貧困等の、「南北問題」。
消費化・情報化と定義した現代社会の問題点を改めて提示し、今後の方向性を示した良書。 -
10年以上前の本。問題は未だ解決せず山積みですが、どうすればいいのだろう?と考えさせられる。
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情報社会は、何のために。
↓
新しい幸せの形の「発見」のために。
消費社会は、「解放」のために。 -
資本主義と共産主義。かつての資本主義は、戦争による特需のようなことがないと恐慌を繰り返す不完全なシステムだという論調で批判されることが多かったが、現代の資本主義は違う。資本主義のシステムそれ自体がシステムの原動力を生み出す自立したシステムである。
現代の資本主義システムが回転する為に、そのシステムの外部にその負のゴミが捨てられる。公害、環境汚染、貧困・・・。
北の国と南の国。南の国は否応なく先進国の資本主義システムに取り込まれ、自分たちの幸せを奪われた。無条件に資本主義という貨幣を持っていないと生きていけない世界におかれ、そのうえで貨幣の無い状況がそこには発生している。 -
私のバイブル。
話の展開が分かりやすい。 -
2010/3/11
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2010/2/3読了
高度に情報化・消費化の進んだ社会の現在の光の巨大・闇の巨大について述べ、最後に社会主義の余事象的に生き残っている資本主義の自由な社会のこれから進むべき道について論じている。
①光の巨大
1950年代のアメリカに始まり、それから20年ほどの間に西ヨーロッパ、日本を含むいくつかの社会が「現代社会」という局面に入った。大量にモノを消費する社会の始まりだ。そしてその需要の形態は人々の自由な欲望から生まれたものだ。自由な社会の始まりと同時に生まれた人々の自由な欲望は無限の需要を生み出した。また消費は情報により創出されるもの、という関係が常態化した。
②・③闇の巨大
情報化・消費化社会の発現によって無限の需要の自己内在化が可能になったが、供給は無限とはいかない。資源の有限性に規定され、供給は有限である。そこで供給の限界点に面する。しかしその供給の有限は先進国からはわからないところに遠隔化・不可視化されてしまっている。 -
見田先生!! 高校の教科書に載っていましたね。
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「GNPを必要とするシステムの中に投げ込まれてしまった上で、GNPが低いから貧困なのである」
新書だからといって読者に迎合なんかしない。考えるままに書いているから、著者の思考と同じぐらい難解で難しい。
難しすぎるから、一番肝要な、情報化・消費化社会のこれからに対する著者の見解がわからなかった。消費という概念を転回する必要があるってことだろうか。
日ごろから否定的な言説で語られる情報や消費だけど、資源や環境の限界性を乗り越えるためには、情報や消費で回る無限性の社会が不可欠。ブランドのマークがついてるだけで、何倍もの値段がつけられる市場なんだから、同じ利潤を稼ぐために必要な資源の量は、単位当りでは昔よりも減少している。これは理論書だから「環境が問題なら、リサイクルすればいいじゃん」なんてことは出てこない。加えて、時代を逆行するような自然回帰的なことは出てこず、常に未来に向いた視野の方向性がとても新鮮だった。
生きるためという必要から乖離し快楽という欲望に動機付けられた、いわばペラペラの価値観に振り回される社会ってどうなのよと思っていた所があったけど、あの頃に立ち返ろうみたいな考え方よりは、はるかに良い。今を背負っている感じがする。資本主義のこれからは、熟成した資本主義の中からしかでてこないんだろう。
でも、100年に一度の不況に陥った今なら、著者は同じことを書くだろうか