外国語学習の科学: 第二言語習得論とは何か (岩波新書 新赤版 1150)
- 岩波書店 (2008年9月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004311508
感想・レビュー・書評
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735円購入2010-06-04
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"母国語以外の外国語を学ぶことについて研究している様々な事例から、効果的に第二言語を習得するにはどんな学習がよいのか!
なんだか、こんな本ばかり読みながらなかなか英語の勉強を始めない自分。
この本のようなやり方も参考にしながら学習していきたい。
この本で印象に残っているのが、アメリカがスパイ活動で情報収集するには、相手国の言語を操れないといけない。そこで、いかに効果的に外国語をマスターするかという研究をしていたというところ。
効果的な方法は最後の章にまとめてある。
好きな分野のインプットを基本に
例文の暗記
アウトプットは毎日少しでも
・・・
がんばろう!" -
第二外国語の習得が母語に比べて圧倒的に遅いのは、以下の2つの理由によると考えていた。
1)圧倒的なインプット量不足。相当勉強している人でも朝起きてから寝るまでに見聞きする外国語の比率は半分にも満たない。普通は1/100から1/1000位ではないか?そうだとすると日本で1年間に習得する日本語知識と同レベルの外国語知識を獲得するには100年から1000年かかることになる。子供が言葉を覚える時も、最初は文法も発音も稚拙だが、親が付きっきりで正しい表現を都度教えていく。第二外国語を学習するのにもネイティブが24時間付きっきりで間違いを正してくれたら上達が速いと思う。
2)記憶への定着が悪い。人は意味記憶よりもエピソード記憶の方が圧倒的に記憶しやすい。母語を覚えるのは一連の体験の中で文脈を持って覚えていくから言葉の意味や、それが使われた状況を含めて記憶している。一方で外国語はテキストを読んで覚えるから日常の文脈から切り離された意味記憶となり記憶が定着しにくい。自分の場合も海外で覚えた表現はいつまでも覚えているものだ。
本書を読んでも上記の確信は変わらないが、これに加えて最初に覚えた言語がフィルタになって新しい言語の習得を阻害する可能性があることを知った。なるほど、確かにそれはありそうだ。
第二外国語の習得に関する科学的なアプローチがこんなにも研究されているとは思わなかった。40年前に知っておけばと悔やまれる。 -
語学学習を重ねてきた身としては体感的に感じていた内容を整理してもらった。子供を海外で育てることになる親、バイリンガルに育てたいと思っている親に特に読んでもらいたい。
それにしても驚くほど先行研究がないということにびっくり。 -
こういう学問があるんだと新鮮でした。
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・アウトプットの必要性には疑問があるものの、インプットが大量に必要であると言うことは明確に言われている。
・英語学習で重要なのは、文法と語彙よ同時に処理すること。ともすると、語彙を処理するだけでも文章読めてしまうが、文法的にも処理をしながら情報をきちんと理解することが学習を加速させる。
・内部構造理解しなくても、丸暗記で長い文章を使うことができてしまう。すなわち、定型表現であっても、きちんと意味を理解することが重要。
・効果的な学習方法①:分野を絞ってインプットする。②:リスニングは8割程度理解できる教材を使う。
ほとんどわからないものでも、聞かないよりは聞いた方が良いと言う事は言える。音声情報は脳が処理しているため。
アウトプットは毎日少しでもやる必要がある。インプットの質を高めるにはアウトプットが必要。アウトプットにより、動機付け、必要な情報の感度が高まる? -
第二言語習得に関してエビデンス・ベースに科学した本。母語習得はほぼ間違いなく成功するのに、第二言語はなぜ失敗することが多いのか。子供ほど成功しやすいが、習得に臨界期が存在するのか。適性や動機付けの影響はあるのか。また、言語を習得するというのはどういうメカニズムか。母語と第二言語で異なるのか。などなど、この分野での現在までの研究結果の到達点を解説しています。効果的な学習法を手っ取り早く知りたいという人というよりも、第二言語習得という言語学に興味ある人にオススメです。
一番興味深かったのは、アウトプットが習得に与える影響の有用性に議論がある点。素人考えでは、効果あるのが常識かと思っていたが、内的なリハーサルだけでも効果があるので、インプットのみが習得に有用という見方もあるのだなと。
個人的に、4月から管理部門の有志を集めて英語講座のストリーミング放送を聴いているのですが、学ぶ立場だけでなく教える立場としてもどうしたら効果的なのか考える機会も多く、ちょいネタとしての活用の余地も含めて非常に参考になりました。 -
語学はもっと科学されるべき、との思いで読んでみた本であったが想像以上に奥が深かった。また語学は言語学だけでなく、脳科学、心理学またバックグラウンドも大きく影響を与えることは何となく理解していたがここまでの複雑性は意外であった。筆者の仮説と実践を丁寧に示すアプローチはまさに科学であって論理的思考能力を見つめ直す機会となった。あれ、語学勉強法を知りたかったのではなかったっけ?笑
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概要: 言語間距離(日本語と英語は遠い、日本語と韓国語は近い); 言語転移(母語の知識が外国語に影響); 臨界期仮説(思春期をすぎたらだめ):生理的な問題か人との関係の質の問題か不明; 適性はまあある; 動機付けも影響; インプット+アウトプットの必要性: 頭の中でアウトプットをリハーサルする; 流暢さと正確さはバランス
感想: 自分の勉強法の参考になるかというといまいちだった