外国語学習の科学: 第二言語習得論とは何か (岩波新書 新赤版 1150)

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  • / ISBN・EAN: 9784004311508

感想・レビュー・書評

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  • 735円購入2010-06-04

  • "母国語以外の外国語を学ぶことについて研究している様々な事例から、効果的に第二言語を習得するにはどんな学習がよいのか!
    なんだか、こんな本ばかり読みながらなかなか英語の勉強を始めない自分。
    この本のようなやり方も参考にしながら学習していきたい。
    この本で印象に残っているのが、アメリカがスパイ活動で情報収集するには、相手国の言語を操れないといけない。そこで、いかに効果的に外国語をマスターするかという研究をしていたというところ。

    効果的な方法は最後の章にまとめてある。
    好きな分野のインプットを基本に
    例文の暗記
    アウトプットは毎日少しでも
    ・・・

    がんばろう!"

  • 第二外国語の習得が母語に比べて圧倒的に遅いのは、以下の2つの理由によると考えていた。
    1)圧倒的なインプット量不足。相当勉強している人でも朝起きてから寝るまでに見聞きする外国語の比率は半分にも満たない。普通は1/100から1/1000位ではないか?そうだとすると日本で1年間に習得する日本語知識と同レベルの外国語知識を獲得するには100年から1000年かかることになる。子供が言葉を覚える時も、最初は文法も発音も稚拙だが、親が付きっきりで正しい表現を都度教えていく。第二外国語を学習するのにもネイティブが24時間付きっきりで間違いを正してくれたら上達が速いと思う。
    2)記憶への定着が悪い。人は意味記憶よりもエピソード記憶の方が圧倒的に記憶しやすい。母語を覚えるのは一連の体験の中で文脈を持って覚えていくから言葉の意味や、それが使われた状況を含めて記憶している。一方で外国語はテキストを読んで覚えるから日常の文脈から切り離された意味記憶となり記憶が定着しにくい。自分の場合も海外で覚えた表現はいつまでも覚えているものだ。

    本書を読んでも上記の確信は変わらないが、これに加えて最初に覚えた言語がフィルタになって新しい言語の習得を阻害する可能性があることを知った。なるほど、確かにそれはありそうだ。

    第二外国語の習得に関する科学的なアプローチがこんなにも研究されているとは思わなかった。40年前に知っておけばと悔やまれる。

  • 語学学習を重ねてきた身としては体感的に感じていた内容を整理してもらった。子供を海外で育てることになる親、バイリンガルに育てたいと思っている親に特に読んでもらいたい。
    それにしても驚くほど先行研究がないということにびっくり。

  • こういう学問があるんだと新鮮でした。

  • ・アウトプットの必要性には疑問があるものの、インプットが大量に必要であると言うことは明確に言われている。
    ・英語学習で重要なのは、文法と語彙よ同時に処理すること。ともすると、語彙を処理するだけでも文章読めてしまうが、文法的にも処理をしながら情報をきちんと理解することが学習を加速させる。
    ・内部構造理解しなくても、丸暗記で長い文章を使うことができてしまう。すなわち、定型表現であっても、きちんと意味を理解することが重要。
    ・効果的な学習方法①:分野を絞ってインプットする。②:リスニングは8割程度理解できる教材を使う。
    ほとんどわからないものでも、聞かないよりは聞いた方が良いと言う事は言える。音声情報は脳が処理しているため。
    アウトプットは毎日少しでもやる必要がある。インプットの質を高めるにはアウトプットが必要。アウトプットにより、動機付け、必要な情報の感度が高まる?

  • p97 の動画は今は見られないみたい。
    p181の教授法、日本であるかなあ。
    外国語で情報を入手するレベルまでなるべく早く到達する努力。
    聴覚優先教授法、沈黙期を保証してやる。インプット+文法的言語処理のためのアウトプット(リハーサル)の必要性。インプットの量を増やす。例文暗記に必要語を入れ替える。
    言語習得は、かなりの部分がメッセージを理解することによっておこる。意識的な学習は発話の正しさをチェックするのに有効。自動化により実際使える能力に貢献。普通に聞いているだけでは気づかないことに気づかせ、理解による自然な言語習得を促進する。
    十分なインプット。分野を絞り、専門分野と興味のある分野について。リスニング、20%理解より80%理解のほうがいい。回数多く。自国のニュースを対象言語で聞く。
    例文暗記。よく使う表現、例文、ダイアローグ。
    アウトプット毎日。日記、独り言録音、学校や会話喫茶、ネットチャット。アウトプット時、まずは意味を通すこと優先。次に正しい文、正しい発音。正確さと流暢さのバランス。
    コミュニケーションストラテジー。時間稼ぎ、パラフレーズ、得意でない分野の回避等の決まった表現。
    文を作れる程度(高1くらいまで)の文法。適性と学習方法の組み合わせ。
    文法は家庭学習に回し、教室では理解可能なインプットを与える。文法精読と内容理解多読。多量の英文を読ませる。TorFを英語で聞かせて判断。
    カーネギーメロン。文法事項を使った学生同士のインタビュー。課ごとによく使われる構文表現が入ったダイアログ暗記。宿題で自分のことについて書く。

  • 第二言語習得に関してエビデンス・ベースに科学した本。母語習得はほぼ間違いなく成功するのに、第二言語はなぜ失敗することが多いのか。子供ほど成功しやすいが、習得に臨界期が存在するのか。適性や動機付けの影響はあるのか。また、言語を習得するというのはどういうメカニズムか。母語と第二言語で異なるのか。などなど、この分野での現在までの研究結果の到達点を解説しています。効果的な学習法を手っ取り早く知りたいという人というよりも、第二言語習得という言語学に興味ある人にオススメです。
    一番興味深かったのは、アウトプットが習得に与える影響の有用性に議論がある点。素人考えでは、効果あるのが常識かと思っていたが、内的なリハーサルだけでも効果があるので、インプットのみが習得に有用という見方もあるのだなと。
    個人的に、4月から管理部門の有志を集めて英語講座のストリーミング放送を聴いているのですが、学ぶ立場だけでなく教える立場としてもどうしたら効果的なのか考える機会も多く、ちょいネタとしての活用の余地も含めて非常に参考になりました。

  • 語学はもっと科学されるべき、との思いで読んでみた本であったが想像以上に奥が深かった。また語学は言語学だけでなく、脳科学、心理学またバックグラウンドも大きく影響を与えることは何となく理解していたがここまでの複雑性は意外であった。筆者の仮説と実践を丁寧に示すアプローチはまさに科学であって論理的思考能力を見つめ直す機会となった。あれ、語学勉強法を知りたかったのではなかったっけ?笑

  • 概要: 言語間距離(日本語と英語は遠い、日本語と韓国語は近い); 言語転移(母語の知識が外国語に影響); 臨界期仮説(思春期をすぎたらだめ):生理的な問題か人との関係の質の問題か不明; 適性はまあある; 動機付けも影響; インプット+アウトプットの必要性: 頭の中でアウトプットをリハーサルする; 流暢さと正確さはバランス
    感想: 自分の勉強法の参考になるかというといまいちだった

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