王朝文学の楽しみ (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312949

感想・レビュー・書評

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  • 王朝文学のおもしろさについて著者の考えが述べられているエッセイです。

    著者が歌人ということもあってなのか、本書は『古今和歌集』の魅力を語ることからはじめられています。正岡子規によって否定された古今集ですが、著者は王朝の歌人たちが宮廷での生活においてどのようなたのしみをあじわっていたのかということを示すものとして、その「歌」をとらえなおします。そして、このような古今集の魅力は、王朝文学に書きつづられた人びとの感受性と密接につながっていると主張します。

    著者自身の体験談を織り込みながら、『土佐日記』『蜻蛉日記』『和泉式部日記』『伊勢物語』『源氏物語』『枕草子』などの作品がとりあげられ、さらに王朝文学における美意識の終焉を示す『新古今和歌集』にまで説きおよんでいます。

    途中、有職故実の研究で知られる石村貞吉のもとで学んだ経験をもつ著者が、王朝文学をあじわうための基本的な知識を解説している章もあるのですが、いわゆる大学受験の「古文常識」の復習のようにも感じてしまいました。それよりも、著者の王朝文学のたのしみかたについて、もっと語ってほしかったという気がします。

  • 平安時代の古典文学に触れる本です。


    少し古典の知識があって読むと楽しめるかと思います。
    古典はフィーリングと思っていますが、本文で訳がほしいと感じたところもありました。
    古典の授業を爆睡していたら、本書だけじゃあわかりずらいかもです。

    源氏物語にたくさん触れてくれているのが好みです。和歌を使って末摘花や近江の君の無教養さを表現した紫式部はすごいと思います。
    「暮らしの背景」で平安時代の様子も簡単に捉えることができ、マメ知識が増えました。

  • 作品の紹介が分かりやすく情報量も適当で、古典入門に丁度いい印象。敢えて記さなかったというけどやはり出典が気になる話がちらほら。

  • 王朝文学とは、大陸文化の吸収から日本独自の文化を育みだした頃の文学を筆者は指している。だいたい平安時代のこと。
    当時の政治的状況や文化が王朝文学に溶け込んでいることがよくわかる。そして、雅とは何かというのもなんとなくわかったような。

  • 古文の読み解き方というか、古典の面白さを紹介した本。途中、「皆ご存知の~」とか「~と言えば~だが」と書かれていたが、全然ご存知なく自分の知識のなさを悔やんだ。が、著者が1927年生まれということを知り、この本で悔やむ人が私以外にも数多くいるのではないかと思った。

    歌はポケベルのようなものだと思った。5・7・5・7・7といった限られた文字の中で今の気持ちを相手に伝え、受け取った方はお返事をする。ポケベルだったら「14106」かしら。そうやって今も昔も愛を育んできたのだと思った。

    尼さんはツルッパゲではなく、今のショートカットくらいにするとか、昔の生活についても触れており、古典を読むときに傍らに置いておく本のひとつになりそうだ。

著者プロフィール

一九二七年東京生まれ。歌人。作家。歌集『さるびあ街』(松田さえこ名義)で第四回日本歌人クラブ賞受賞、『源氏の恋文』(求龍堂)で第三二回日本エッセイストクラブ賞受賞、第六歌集『夕霧峠』(砂子屋書房)で迢空賞受賞、『新訳:源氏物語1~4』(小学館)等の活動により神奈川県文化賞受賞。その他、著作多数。近刊に『自伝的短歌論』(砂子屋書房)がある。また「合唱組曲・蔵王」他、多くの作詞を手がける。

「2019年 『神山三輪山歌集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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