新装【ワイド版】街道をゆく39 ニューヨーク散歩

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  • 朝日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022501394

感想・レビュー・書評

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  • 2019年9月14日読了。

    ●黒人有史以外のアメリカ史を“趣味”にするというのは
    文明としての心の蒸留度がよほど高くなっているという
    ことなのである。

    ●書物が、霧のように異文化の美しさを吐き出してきて
    平川少年をつつんだ。

    ●ニューヨークの州都はニューヨーク市ではなく
    北に230キロ行った所にあるオールバニー。

    ●混沌の中、懸命にさがし求めている姿は、そのまま彼女
    の苦悩の深さでもあると思えて、しばしば私の胸を打ち
    ます。

    ●ブルックリンを舞台にした小説や映画で著書が印象的だ
    ったもの…
    ウィリアム・スタイロン「ソフィーの選択」
    (大浦暁生訳・新潮社)

    ●紀元前1050年、商(殷)が滅び、商の遺民は農地を
    失って四方に流浪した。彼らの一部が、ジプシーと化
    し、行商をしたから、商う人たちのことを、世間では
    “商人”と呼ぶようになった。

    ●中国には客家(ハツカ)というユニークなグループが
    存在する。
    →その起源は、4世紀から17世紀までとまちまち
    →中原である華北で大乱が起こり、人々が南下し
    彼らは広東、湖南、江西、福建などに住んだ。
    →先住者から見れば、彼らが客人として住んでいるため
    客家と呼ぶようになった。
    →客家はどの省にいても共通の客家語を使う。
    客家語には、古格な華北の言葉が入っているそう。
    →家譜を尊重し、祖先崇拝が強く家々には家祠がある。
    →他のグループと協調するよりも争う場合が多く
    一般に自己主張が強い。
    →孫文も洪秀全も鄧小平も客家。
    →アメリカの華僑は圧倒的に客家が多い。

    ●中西勝之「現代ユダヤ系アメリカ文学」(原書房)
    ノーマン・メイラーの言葉として
    「少数派ひ共和政体の芸術的根幹である」
    「ユダヤ人ほど自分を、厳密には自分の精神を日夜“敵意
    を込めて”見つめ、分析する人々はいない」
    「芸術は、この“塩分”から生まれる。
    多数派は普通、のほほんとしている。」

    ●米谷ふみ子
    →第94回芥川賞「過越しの祭」
    →夫の側のユダヤ的習俗に対し、大阪ふうのー愛情の変
    形としてのー高度な揶揄を込めている。

    ●室町時代には、世阿弥のような天才が出た。
    近世の芭蕉や西鶴や近松門左衛門も。

    ●芭蕉が杜甫に私淑していたことは、いうまでもない。

    ●近代的なホテルの古典を作ったのが、スイス生まれのリ
    ッツでという。リッツはパリに出てきた給仕の仕事をし
    ながら、新しい時代のホテルの構想を考えた。やがて料
    理長エスコフィエと組み、ロンドンでサヴォイ・ホテル
    を作って、古典を作り上げた。

  • 週刊朝日に連載されていた紀行エッセイです。本巻には、1993年3月〜6月に掲載されたものが収録されています。シリーズ唯一のアメリカを舞台にした「散歩」です。ドナルド・キーン氏のコロンビア大学退官記念講演のため訪れたニューヨークを媒介として、日本とアメリカの歴史と現在についての思索が語られます。日本学の源流となった角田柳作氏の話題と、幕末期の日米間で歴史的な働きをしたハリスの話題とが、特に印象に残りました。最後の節は、当時盛んに報道されたある事件について語られており、全体的に明るい作品という雰囲気が最後に暗転して、シリーズの他作とはやや異なる複雑な読了感をもちました。

  • 手持ち本はワイド版ではないが、ブクログにはその本がなかった

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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