絵画の領分: 近代日本比較文化史研究 (朝日選書 412)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (660ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022595126

作品紹介・あらすじ

18世紀の平賀源内や司馬江漢に始まるオランダ系洋風画の系譜は、高橋由一の『鮭』や『花魁』において、一挙に雄渾な迫真美の高みに達した。森鴎外と原田直次郎、夏目漱石と浅井忠、そして岸田劉生まで、近代日本勃興期の絵画と文学の親密な相互作用を、比較文化史の視点から描く。大仏次郎賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 夏目漱石の絵画展、東京芸大美術館、行きたい!

  • <a href="http://1sugi.cocolog-nifty.com/toybox/2006/12/post_dfb6.html" target="_blank">巡回先のブログ</a>で取り上げられていたので取り寄せて読んでみた.
    実に気合の入った力作論文満載で読み応え充分,ややゴシップめいたエピソードも適度に入れてあって631ページの大部をして退屈させない.
    しかしなんだね,日本人ってのは,たとえ専攻が「洋画」であっても行動パターンが家元制度そのまんまで,洋画の新旧派の角逐とかミュンヘン派だとかパリ派だとか外光派だとかバルビゾン派とか,やることは古今伝授や華道茶道の免許や日舞の名取の暗闘と変わらないまま今でも営々とやってるよなぁ.タコツボの中で小物同士が潰し合うのが大好きという癖は百年経っても変わらないのかねぇ.

    もうひとつ不思議なのは,この留学生たちは何で揃いも揃って西欧美術の20年遅れを大事に抱えて帰朝してくるんだろうという疑問.例えば高橋 由一でさえ Cezanne よりやや年上だけどキャリアは同じ位で Manet とほぼ同年輩.黒田 清輝なんか Seurat より年下で Matisse と同年輩(!),浅井 忠は Gauguin と同年輩で辛うじて同時代っぽいけど,岸田 劉生に至っては Duchamp より若くて Man Ray と同じくらいなんじゃないだろうか.本場に学んで来たにしては,どう見ても20年か下手すりゃ半世紀古い.もっとも岸田 劉生は留学してないか.
    まぁ学校で習う教程は常に因循なものだからそのくらいのタイムラグがあって当然だろうが,パリのベル・エポック,まさに現代絵画誕生のその時その場所に居あわせながら,何を観て誰と付き合って来たんだろうなぁこの人たちゃぁ.流行に盲随するのが良いとは言わないが,少しは同時代性ってもんを意識することは無かったんだろうか.

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著者プロフィール

芳賀 徹(はが・とおる):1931?2020年。東京大学教養学部教養学科卒、同大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化専攻博士課程修了。博士(文学)。東京大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授、日本藝術院会員。プリンストン大学客員研究員、京都造形芸術大学学長、静岡県立美術館館長などを歴任した。主な著書に『絵画の領分──近代日本比較文化史研究』(大佛次郎賞)、『文明としての徳川日本──一六〇三─一八五三年』(恩賜賞・日本芸術院賞)、『外交官の文章──もう一つの近代日本比較文化史』などがある。

「2023年 『平賀源内』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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